MENU

やりたいことができる環境、浜松で外食ITベンチャーに就職|若手キーマン 山口 裕司 氏へインタビュー


多くの地方都市が抱える課題である、”若者の東京圏への流出”。ここ浜松市でも同様の問題を抱えており、環境整備が求められます。同市では、人口の流入を促すべく「浜松市“やらまいか”人口ビジョン」を策定。まち・ひと・しごとの側面から、市民のニーズに応える地域作りが進められています。
そのような中で、東京の企業から複数の内定が出ていたにもかかわらず、浜松市内の大学を卒業後は、地元外食ITベンチャー企業の株式会社こころ(本社:浜松市中区)に就職した山口氏。その理由について語っていただきました。

目次

山口 裕司 氏|プロフィール

1994年生まれ、栃木県出身。静岡文化芸術大学国際文化学科卒業。在学中に、フェアトレード推進団体TABEBORAを創設。同校のフェアトレード大学認定や、浜松市のフェアトレードタウン認定に貢献する。中国浙江大学への留学やオンライン旅行代理店でのインターンなどを経験し、2018年4月、株式会社こころへ入社。IT事業部にて店舗の売上改善や、ウェブプロモーションなどを手掛けている。

やりたいことにチャレンジ、起業の目標へ辿り着いた大学時代


菅原:大学時代から、周囲を巻き込みプロジェクトを実行、際立つ存在だった山口さん。創業以来の成長を続ける、外食ITベンチャー企業の株式会社こころへ就職をし、今後どのように躍進されるのか興味深いところです。今日は、よろしくお願いします。
山口:よろしくお願いします。
菅原:大学時代に積極的に活動していたのは、起業を意識されてのことだったのでしょうか?
山口:最初から、起業が念頭にあった訳ではありません。やりたいことを形にしていった結果、実際のビジネスや起業に近いことをしていたのです。その結果、大学時代の活動を通じて、自然と、将来は起業できたらと思うようになりました。
菅原:特に、印象に残っている活動を教えてください。
山口:2つあります。1つは、”食べるだけでもボランティアになる”をコンセプトにしたフェアトレードの推進団体「TABEBORA(タベボラ)」の創設です。国際協力の研究で有名な教授に学ぶうち、フェアトレードという世界的な活動を知り、浜松でも広めたいと思ったことがきっかけでした。
もう1つは、東京の旅行事業ベンチャーでのインターンです。そこでは1年間、ウェブマーケティングについて勉強しました。
菅原:それぞれの活動で得た学びはなんですか?
山口:TABEBORAでは、起業に近い体験ができました。コンセプトの策定やメンバー募集に始まり、啓蒙を促進するためのカフェをオープンしたことは、まさに起業だったと思います。ものやお金の管理など、すべて大学生が主体となって運営してきました。
インターンでは、企業が成長するうえでウェブマーケティングが果たす役割を学びました。
その企業では、顧客満足度に重きを置き、ウェブを活用した顧客コミュニケーションを丁寧に行っていました。コンセプトを作り込み、自社サービスの質を上げ、1泊8万円するような商品が売れていきます。お客様の満足度もとても高く、需要と供給の好スパイラルを生んでいることにとても感銘を受けました。
菅原:それらの経験を通じて、将来やりたいことも明確になっていったのでしょうか。
山口:はい、起業をしたいという思いが明確になり、外食産業をIT、特にウェブマーケティングの力で変えるという目標もできました。

飲食産業の未来を切り拓く、新しいビジネスモデルを確立したい


菅原:TABEBORAの経験から、外食産業に関心が高まったのですか?
山口:もともと食が好きで、外食関連企業へ就職したいと思っていましたが、業界がマンネリ化していると感じていました。客数×客単価×回転数という公式で、売上の天井が見えているのは味気ないなと。
一方、ウェブマーケティングには、ものの価値を必要としている人へ最大限に伝え、購買に結びつける力があります。インターンを通じて、外食産業の既存のビジネスモデルを打開できるヒントが、ウェブマーケティングにあると確信を持ちました。
菅原:実際の就職活動は、どう進めましたか?
山口:IT、特にウェブマーケティングを取り入れている、飲食関連企業を探しました。そのような企業が集中している場所を考慮し、東京で就職活動を行いました。選考を進み、内定も数社いただいたのですが、最終的には全てお断りをしました。
菅原:それはなぜですか?
山口:就活中だった2017年6月、浜松でご活躍される先輩方の集まりに参加した際、弊社代表の渡邉と出会ったことが理由です。ITの力で、外食産業により多くの幸せを生み出したいという、熱い思いやビジョンを教えていただきました。自分がやりたかったことを、一部事業に取り入れている会社が、一番身近な浜松にあったことには驚きました。しかも、上場を目標に掲げ毎年成長していると。
また、渡邉代表のリーダーシップに強く惹かれました。現場スタッフや社員の声を拾うため、代表自ら店舗に立つという話を聞きました。ボトムアップで一丸となって組織を成長させていく在り方は、まさに、私の目指すリーダー像だったのです。
菅原:こころの成長に寄与したいと、考えるようになったのでしょうか?
山口:こころなら、会社の成長に必要な仕事を、ゼロから自分で作っていけると思いました。ウェブマーケティングで、飲食業界に変革を起こしたいという思いも、こころには必要だと受け入れてくれました。自分のやりたいことで、会社に貢献できるのは大きなやりがいです。
大学在学中の2017年10月、早速こころへの入社を決め、すぐさまインターンに参加させてもらいました。
菅原:こころのインターンでは、どのような仕事をしましたか?
山口:ITに関連する内容としては、店舗メニューの多言語化における翻訳のチェックをしました。私の場合、英語のほか中国語もチェックできるので、まず手始めにと、任せていただきました。
また、大学時代に他の飲食店でアルバイトをしていた経験から、こころの直営店舗の売上改善に携わりました。販促チームを結成して取り組んだ結果、1ヶ月間で、1店舗の1ヶ月分に相当する売上を創出し、会社の収益向上に貢献することができました。入社後は、こころの2業態、静岡・浜松・豊橋エリアにわたって売上改善に取組んでいます。
菅原:即戦力となり、高いパフォーマンスを発揮されたのですね。
山口:こころでは、社員ひとりひとりの経験や能力を見て、適材適所で仕事を与えてもらえます。自分の適性を最大限に発揮して働ける環境なので、働きやすい会社だと感じます。
菅原:入社後は、どのような仕事をしていますか?
山口:主に、ウェブプロモーションに関する仕事を担当しています。弊社のSNSの管理運営や、飲食店の商品やキャンペーンのプロモーション企画も、デザイナーと相談しながら進めています。
また、静岡県内の魅力ある産品を集めたECモール「しずモ」の担当をしています。先日6月2・3日に開催された浜松の魅力が体験できる農泊イベント「リアルはま・てなし」では、TABEBORAともコラボし、2日間の食事を担当しました。
▼リアルはま・てなしのリポートはこちら
https://hamamatsustartupnews.jp/event/real-hamatenashi-first
菅原:素晴らしいご活躍ですね。ご自身の起業も、そう遠くない将来でしょうか?
山口:起業が前提の入社ではありますが、まだまだ先の目標です。まずは、こころで新たなビジネスモデルに基づく経営サイクルを確立し、会社へ貢献するというのが当面の目標です。
これは、ベンチャーで働く醍醐味でもありますが、こころでは多岐にわたる仕事を与えていただいています。その分、社会人としての成長が早く、自分が活躍できるポジションも見つかります。自分の得意分野で会社の成長に貢献し、徐々にウェブマーケティングの分野も開拓していけたらと思っています。

自分次第で可能性が広がる街、浜松ではじめの一歩を踏み出そう


菅原:最後に、浜松の若者に向けて、メッセージをお願いします。
山口:まず、浜松はチャレンジしやすい街だと伝えたいです。がんばる人を応援してくれる気風があり、そのための環境も整いつつあります。
私が副代表を務めた、浜松の活性化を促すコミュニティ「若者社中」など。意欲ある若者が集まる場が、確実に増えています。
それらは、チャレンジ精神が旺盛な人にとってはもちろん、何をしたらよいかわからない人にも行動のきっかけとなります。
菅原:チャレンジの場に飛び込むのは、ハードルが高く感じられることもありますよね。
山口:自分のアイデアを、人に話してみることから始めれば良いと思います。賛否両論を聞くことでアイデアが洗練され、次のアクションに繋がります。私も、周囲の大人に、自分のやりたいことを聞いてもらうことからスタートしました。
さらに行動していくと、応援してくれる仲間や先輩が、この浜松には多くいることに気付きますよ。環境は用意されています。「あとは君次第だよ」と伝えたいですね。

編集部コメント

学生時代から、多くの実績を積んできた山口さん。積極的に自分の考えをアウトプットすることで、やりたいことが徐々に形になってきたとのことでした。そのチャレンジを支えてきたのは浜松の環境と人でした。株式会社こころという新たな環境を見つけた山口さんが、今後どのような活躍をしていかれるのか期待が高まります。

ライター|菅原 岬

author

目次
閉じる