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デンソーから転職したビジネスマンが浜松のベンチャーにいる理由ー「普通スタートアップ」が日本を変える?


東海地方は大手製造業が集中しており、比較的に人材が大手企業に流れやすいことがベンチャー業界では一つの課題とされています。そんな中、大手金融・大手製造業を渡り歩き、浜松のベンチャー企業へ転職した異色の経歴のキーパーソンが浜松で注目されています。今回は株式会社NOKIOO(ノキオ)の大倉氏にインタビューさせて頂き、大胆なキャリアチェンジの真相を語って頂きました。

目次

大倉 正幸 氏

1982年生まれ、岐阜県出身。株式会社NOKIOO取締役CFO。名古屋市立大学卒業後、三菱UFJ銀行の法人営業として社会人生活をスタート。後にDENSOへ転職し、事業採算マネジメントや海外現地法人の立ち上げ、M&Aなど幅広い業務を担当する。グロービス経営大学院オンラインMBAでの同期生であったNOKIOO代表の小川氏の理念に共感し、2017年4月に同社取締役CFOに就任。

大手製造業からスタートアップへ、大倉氏の異色な経歴


若目田:タイトルにもあるように、大手企業のキャリアを蹴ってNOKIOOへ転職した大倉さんですが、読者の皆さんが気になっているキャリアチェンジの理由を早速教えて頂けますか?
大倉:一番の直接的なきっかけは、当時グロービス経営大学院オンラインMBAの同期であったNOKIOO代表の小川の志に、私自身が共感したことです。グロービスはちょっと変わっていて、「何のためにMBAを学ぶのか」「自分はこれからどうやって生きたいのか」といったことを、すごく時間をかけて考えるカリキュラムが組まれているんですね。
自分自身も何をミッションにして生きていくのか、相手はどうなのかと触れる機会がすごく多く、その中で私自身の志と小川の志が重なっているとの確信が得られたんです。小川には「大倉だから一緒にやりたいんだよ」と何度も言ってもらって…。
若目田:運命的な出会いだったんですね。
大倉:私自身は、「自分じゃないと生み出せない価値を、どれだけ残して死ねるか」ということが自分の人生の重要なテーマだと思って生きています。それと、何か新しいことにチャレンジしているときに、心から共感できる人の支えになっていることに実感を得られると思っています。
そう考えたときに、前職のDENSOは、本当に良い会社でこれからもきっと伸びていく会社だとは思うのですが、10年経てば良くも悪くもかなり安定すると思います。DENSOに肌が合う人もいるのですが、自分の人生のテーマから考えると、私は本当にこのままでいいのだろうかと、ここ2年間ぐらいは考える機会が多くなってきたんです。
若目田:それで、転職したと。
大倉:そうです。大きい会社の中にいるということが、自分にとっては逆にリスクになることも少し感じ初めていました。私にとって必要なのは、安定したループではなく、変化がたくさんある環境に身を置いて、自分の強みを発揮しながらどのような環境にでも適応できるような能力を見つけていくこと。それがすごく大事だなと。

CFOの”F”はFinanceとFunction

時にはスタッフ同士の繋ぎ役にもなる大倉氏。

若目田:取締役CFOとしてNOKIOOにジョインした大倉さんですが、普段はどんなことをされているのでしょうか?
大倉:業務は大きく分けて3つあります。1つが、NOKIOOの目指す姿を実現するための戦略を立案すること。2つ目がそれを実際果たすために必要な資金や人材を集めてくること。3つ目が、メンバー全員が付加価値の高い仕事・集中できるような線路設計や環境設定をして、運営していくということ。私にとって、この3つが主に大事な役割かなと思っています。
CFOのFは”Finance”に留まらず、”Function”(機能)の役割も必要だとも思っていて…。ベンチャーだと、1人1人の役割を定義しないと、本当に必要な役割は果たせないなと。
若目田:CFOという役割に捉われず、事業の裏側の部分の仕事を作っているんですね。

休日は一児のパパ、浜松は育児と仕事の両立できるスタートアップ環境

一児のパパでもある大倉氏。(画像は本人のFacebookより引用)

若目田:東京・名古屋でお仕事をされてきた大倉さんですが、浜松のスタートアップ環境はどうでしょうか?
大倉:良い点は3つあると思っています。まず、大都会に比べて、無いものの方が多いこと。無い中からどうするのか?という思考はとても大事だと思うんです。自然とPDCAを回す癖が付きますよね。
次に、地縁をすごく大事にしていること。ベンチャーだからといって、古くからの会社と付き合わないというようなこともありません。ある意味、地元の人たちから暖かく見守って頂いて、地に足着いている感覚がある。その点は地方ベンチャーならではの商売感覚です。
3つめは、プライベートな話なのですが、住環境がものすごく良いことです。私には3歳になる息子がいるのですが、車で5分、歩いて10分圏内に、自然が豊かで自由に遊べる場所が両手に余るぐらいあります。すごく住みやすいんですよね。子育てもしやすいし、人もすごく優しいし。快適な住環境を確保しながらチャレンジングな仕事をできるのは、地方だからこそ実現できることだと思っています。

「普通スタートアップ」が日本を変える、大倉流ベンチャー論


若目田:大倉さんの視点で見るに、浜松のベンチャーであるNOKIOOが果たしていくべきことは何だと思いますか?
大倉:NOKIOOにいると特に感じるのですが、浜松のベンチャー界隈は、良くも悪くも、”普通”の人間が多くて、そこがすごくいいなと思っているんですよ。ベンチャーと聞くと、どうしても都会で、しかもちょっと思考がブっ飛んでる人が成功するイメージがありますよね。でも実際にはそんな人は多くはなくて、このままだとベンチャーはガラパゴス化してしまうと思います。
ベンチャー企業が足りないというのは日本中どこでも言われていますが、それを解決するためには、「普通の人でも成功しますよ」という考え方がベンチャーの世界に訪れないといけません。なので、「普通スタートアップ」である僕らがそのモデルケースを作っていかなければならないなと思っています。
普通に見える人でも、別にみんな表に出さないだけで、いろんなことを熱い思いや理念を持っているんですね。浜松のベンチャー界隈の人たちの思いは、「青い炎」だと思っています。露骨にPRする訳ではないけど、火力はとても強い。そういうところがすごく面白いかなと思っています。僕も代表の小川も心に青い炎を灯しているので、共感してくれる方はぜひオフィスに一度遊びに来て下さい!

編集部コメント

普通だからこそ、日本のベンチャーのスタンダードを地方から築き上げると意気込む大倉氏。そんな心強いCFOが入ったNOKIOOは、第2創業期を迎え新たなプロシェクトを次々展開していく予定です。

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