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第10回 Startup Weekend 浜松レポート|当日の様子と参加メリットを一挙紹介


2021年7月16日(金)から18日(日)にかけて、3日間で起業を体験できるイベント「Startup Weekend」が開催されました。浜松での開催も、今回で10回目を数えます。スポンサー協力のもとに静岡新聞社 浜松総局プレスタワー(所在地:浜松市中区)が会場となり、総勢56名が参加しました。
今回は「SMART CITY」をテーマに、街の暮らしを支える新たな商品・サービスを考案。本レポートでは当日の様子をお伝えします。
参考:Startup Weekend 浜松 10th イベントページ

目次

Startup Weekend とは?


Startup Weekendとは、週末の54時間という短期間で、世の中の課題を解決するアイデアからビジネスプランを立案するイベントです。事業アイデアを持つ参加者は、自身の想いに共感してくれるメンバーを募り、イベントのその場でチームを結成していきます。
結成されたチーム内で、事業アイデアの必要性やユーザー課題について検証。最終日の午後までに、ユーザーニーズに沿った必要最低限のビジネスプランを作り上げます。ビジネスプランは審査員によって評価され、上位3位が決定します。
世の中にまだないビジネスをゼロから考案するため、チームメンバーの離脱やビジネスプランの変更が当然のように起きます。その過程も含めてスタートアップ経営のリアルを体験できると、世界各国41万人以上が参加している全世界で人気のイベントです。

Startup Weekendのスケジュール

Startup Weekendは週末3日間を使って開催されます。金曜日の夜に始まり、日曜日の夕方には審査員によりビジネスプランの評価が行われます。
Day1  事業アイデアの1分ピッチ
     チームビルディング
Day2  仮説検証および事業プランニング
     メンターによるコーチング
Day3  ビジネスプランのブラッシュアップ
     発表・審査会

一般的なビジネスコンテストとの違いは「Action」があるかどうか


作り上げたビジネスプランの審査がある点においては、ビジネスコンテストと変わらないようにもみえるStartup Weekend。ですが、Startup Weekendが一般的なビジネスコンテストと明確に異なる点が3つあります。

  • 詳細な事業計画はいらない
  • 顧客を見つける
  • 想いで人を動かす

Startup Weekendでは、その取り組み方において「Action」があるかどうかを問われます。以下にそれぞれの詳細をお伝えします。
 

詳細な事業計画はいらない


Startup Weekendでは、詳細な事業計画を求められません。重要なのは、まだ誰も気づいていないユーザー課題や社会的な課題を見つけているかどうか。そして、その課題を正しく解決するソリューションを描けているかです。
解決したくて仕方ないのに、まだ有効なソリューションが提供されていない課題ほど、解決策となる商品・サービスが求められるためです。その上で、課題に対して適切なソリューションを提供する必要があります。
事業計画は状況によって軌道修正を求められるもの。スタートアップの創業当初ほど、その傾向は強くなります。事業計画を詰めることより重要なのは、解決すべき切実な課題が見つかったかどうかなのです。

顧客を見つける


実際に買ってくれる「顧客」がいるかは、Startup Weekendでとくに重視されるポイントです。どんなにイノベーティブな商品・サービスでも、顧客がいなければ事業として成り立たないためです。
最終日の審査会までに、顧客を見つける必要があります。必要最低限のプロトタイプを作り、想定ユーザーにテストしてもらわなければいけません。そのためイベント当日は、路上インタビューやアンケートを実施して顧客を探しにいくチームも見られます。
Startup Weekendのモットーは「No Talk, All Action.」、意訳すると「建物の外に出よう」です。自分たちの考えではなく、ユーザーの意見を第一にするあり方を表現しています。

想いで人を動かす


自分の事業アイデアに自信をもち、仲間を集める勇気が求められます。どうしても解決したい課題がある、何としてでも形にしたい商品・サービスがある。そうした熱い想いによって人を動かす経験が積めるのも、Startup Weekend ならではです。
以上のようにStartup Weekendは、アイデアを形にするための具体的な「Action」が求められるイベントです。そのことが起因となり、起業家精神が試されスタートアップをリアルに体験できるのです。
起業を目指す人から新規事業の立案に携わる人、社会的課題の解決につながる新しいアクションを起こしたい人まで、あらゆる立場の人がチャレンジできる場となっています。
 

Startup Weekend 浜松から起業家も誕生


出典:株式会社モリロボ公式ホームページ
2016年、Startup Weekendが浜松で初開催されてから今回で10回目を迎えました。これまでにStartup Weekend 浜松をきっかけとし、実際に起業した参加者もいます。
第3回のStartup Weekend 浜松 に参加した森 啓史氏は、クレープ生地を全自動で焼き上げるロボットを考案。「浜松を調理ロボの街に」という夢を叶えたいと、起業を決意しました。その後株式会社モリロボを設立し、クレープロボット「Q」を製品化しています。

▲鈴木康友 浜松市長も特別審査員として参加を継続
Startup Weekend 浜松 に産業振興の兆しを見いだし、浜松市も後援を続けるほど。浜松市は、2015年度より本格的なスタートアップ支援を行ってきました。「浜松バレー構想」をかかげ、スタートアップの育成や誘致、コミュニティ作りを支援しています。
そんな浜松市におけるスタートアップ熱の高まりに、投資家や事業家の注目も集まってきました。第10回 Startup Weekend 浜松における審査員およびコーチ、スポンサー一覧は以下の通りです(敬称略、協賛順)。

審査員 / Judges

石榑 智晃 氏 グローバル・ブレイン株式会社 Investment Group
東 博暢 氏 株式会社日本総合研究所 プリンシパル
海野 俊也 氏 株式会社静岡新聞社/静岡放送株式会社 浜松総局長
特別審査員 鈴木 康友 氏 浜松市 市長

コーチ / Coaches(2日目のコーチングを担当)

大柴 貴紀 氏 East Ventures フェロー
宮城 浩 氏 株式会社FromTo CEO
鈴木 郁斗 氏 株式会社bridge ビジネスデザイナー
宇佐美 聖子 氏 BISOWA VILLAGE株式会社 代表取締役
鶴 健一 氏 株式会社STARTERS 代表取締役
池田 貴裕 氏パイフォトニクス株式会社 代表取締役

スポンサー / Sponsors

シルバースポンサー
株式会社エフ・シー・シー
株式会社bridge
株式会社UGO
ブロンズスポンサー
スズキ株式会社
浜松いわた信用金庫
株式会社トラジェクトリー
ローランド ディー.ジー.株式会社
株式会社STARTERS
株式会社Happy Quality
会場・イベントスポンサー
株式会社静岡新聞社
日本全国・通年スポンサー
弥生株式会社
後援
浜松市
 

Startup Weekend 浜松、白熱の3日間

第10回Startup Weekend 浜松は参加者56名のうち、社会人が38名、学生が18名となりました。起業家からフリーランス、有名企業まで所属もさまざま。それぞれの立場を超えフラットに事業を立案しました。以下、3日間の様子をお伝えします。

Day1:チームビルディング


事業を作りたい参加者はステージに立ち、1人あたり1分間で自身の事業アイデアをプレゼンします。人気投票を行い、票数の多かった事業アイデアから順に計8チームが誕生しました。

Day2:事業化の谷を経験、ビジネスプランの練り直し


2日目は、大半の時間を仮説検証に使います。社会的あるいは顧客特有の課題はあるのか、考案したソリューションは正しく課題を解決できるものなのか。コーチングを交えながら、ビジネスプランを深掘りしていきます。
アンケートを実施するチームや、会場を離れて路上インタビューに出かける参加者もいます。想定ユーザーからの声を実際に聞いてみるためです。そうしたステップを経ると、顧客の課題を捉えずソリューションを考案していたことに、ほとんどのチームが気付きます。
最初に掲げた事業アイデアが振り出しに戻り、分裂してしまうチームも現れます。2日目の18時にチームが解散してしまい、ゼロから新たなチームを作る動きも見られました。そのように「事業化の谷底」を目の当たりにするのが2日目です。

Day3:チームの結束力が高まり、ビジネスモデルが完成


3日目も仮説検証が続きます。顧客課題の捉えなおしからソリューションの再考まで、事業アイデアを全体的に見直すチームがほとんどです。しかし、16時には審査会が始まります。その時間が近づくにつれてチームの結束力が高まり、リーダーも決断を迫られます。最終プレゼンに向けて、急速にビジネスモデルの構築が進みました。
 

最優秀賞はチーム「文房具×ストレッチ」が受賞!


最優秀賞は、夜道も安心してランニングできるための装着デバイス「女性向けナイトラン用安全ライト」を考案したチーム「文房具×ストレッチ」でした。当初はデスクワークをしながらストレッチできる文房具の開発を目指していたため、このチーム名になりました。
意見がまとまらず、2日目の夜にはチームが3分割されてしまったといいます。そのままの状態で議論を進め、3日目に再結集して総意を形成しました。
向き合ったのは、夜道が怖くてランニングに出かけられないという女性特有の課題。結果、足元を照らす照明に加え、万が一の通報機能を搭載した「女性向けナイトラン用安全ライト」が完成しました。
審査員からは、ナイトランに着目したことによる新たな市場開拓の可能性や、プロトタイプまで制作できたことへ評価の声が上がりました。
 

特別な人脈が広がるStartup Weekend 浜松へ参加しよう


10回目を終了したStartup Weekend 浜松。毎回50名以上の参加者が集まるコミュニティとなってきました。スタートアップ支援が盛んなエリア特性から、事業育成の伴走支援を行う投資家や、首都圏や海外と接点を持つ起業家などからの注目も高まっています。
スタートアップ設立や事業立案のリアルを体験でき、今後のビジネスのヒントやスキルアップにもつながります。個人における起業家精神の醸成から、企業における人材育成にまで有効なプログラムとなっています。そんなStartup Weekend 浜松にぜひ参画してみてはいかがでしょうか?
第11回Startup Weekend 浜松は、2022年3月の開催で準備中とのこと。詳細は、Startup Weekend 浜松 イベントページ(※イベント・コミュニティ管理プラットフォーム「Doorkeeper」上のページに飛びます)に登録いただくことで、最新情報をご確認いただけます。
 

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