浜松地域のベンチャー起業家コミュニティ、Hamamatsu Venture Tribeのイベント第3弾「Hamamatsu Venture Tribe 3rd Meetup」が、浜松信用金庫板屋町支店のキャンピングオフィスで2018年3月14日に開催されました。
浜松市長・鈴木康友氏や報道陣をはじめ、ベンチャーの経営者や社員、行政や金融関係者、大学関係者、起業に興味のある方など、浜松市内はもちろん、東京や名古屋などの地域からも参加者が駆けつけました。本記事では、全5社のピッチ内容と参加者のコメントをレポートします。
Hamamatsu Venture Tribeとは
Hamamatsu Venture Tribeは、パイフォトニクス株式会社(本社:静岡県浜松市東区)代表取締役の池田氏、株式会社NOKIOO(本社:静岡県浜松市東区)代表取締役の小川氏、リンクウィズ株式会社(本社:静岡県浜松市中区)代表取締役の吹野氏、株式会社こころ(本社:静岡県浜松市中区)代表取締役社長の渡邉氏、そして株式会社SPLYZA(本社:静岡県浜松市中区)代表取締役の土井氏が中心となって立ち上げたベンチャーコミュニティ。起業家やベンチャー経営者らが独自にエコシステムを構築することで、ビジネス成長のためのネットワークづくりや、起業家が生まれるムーブメントを起こすことを目指して活動しています。
▼Hamamatsu Venture Tribeに関する詳しい情報は、以下の記事からもご覧いただけます。
浜松のベンチャー起業家コミュニティ「Hamamatsu Venture Tribe」が本格始動
Hamamatsu Venture Tribe 2nd meetup イベントレポート
GEE株式会社「シミュレーション技術の有効活用で、“挑戦したい思い”を実現する」
光シミュレーション/光計測技術とネゴシエーションスキルを駆使して、イノベーターの思いを可視化するGEE株式会社(本社:静岡県浜松市北区)は、売上の50%を研究開発に投資。静岡県、浜松市、フォトンバレーの研究補助金採択事業者であり、 独自技術で自動車メーカーと特許共同出願している。 6人のエンジェル投資家が出資し、静岡県で初のエンジェル税制適用事業者にも選ばれており、代表取締役社長の蒲原正広氏は「浜松に移住し、起業3期目となる。この地域は挑戦したいことができる風土があり、私の個性とも水が合っている。」と述べた。
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光学・照明シュミレーションの有効活用で海外に挑戦する | GEE株式会社蒲原代表
株式会社週休3日「プラス1日で世界が変わる」
日本社会に週休3日制社員の選択肢を広げる株式会社週休3日(本社:静岡県浜松市中区)は、「働き方」でマッチングする有料職業紹介からはじめ、人材広告を開始。代表取締役の永井宏明氏は、介護付有料老人ホーム施設長を8年務めた経験から、介護現場は働けば働くほど社員の活力が減少し、一定ラインを上回ると、離職・ケガ・虐待などの問題が増加することを知る。自ら週休3日制を1年半体験した後に、職場でも6年間導入を試みる。その結果、全体の約40%が週休3日制社員となり、社員の「もう1日休み”たい”」が「もう1日働いてもいい”かも”」へと変化していくことを実感。
「働く人の視点に立つ週休3日制度は、確実に浜松の移住促進の切り口となるはず」と述べた。
株式会社NOKIOO 「セルフターンからはじまるUIJターン」
ITと女性を活用したビジネス課題の解決と人材育成に取り組んでいる株式会社NOKIOO(本社:静岡県浜松市中区)は、取締役CFO・経営管理部長の大倉 正幸氏が登壇。企業が意欲にあふれた働き手をどうやって獲得するのか、その課題を解決する一つの方法としてセルフターン(※1)に注目している。愛知県岡崎市の事例では、セルフターンを都市部から集めるイベントを開催し、全国的な注目が集まりUIJターンが増えた。株式会社NOKIOOは株式会社スノーピークビジネスソリューション(本社:愛知県名古屋市東区)のアライアンスパートナーであり、浜松市は首都圏や名古屋圏からのアクセスもよいセルフターンに最適な場所といえる。「浜松の土地の豊かさを伝え、本質的に考え行動して社会を変えていこうとする人を浜松に集めたい。」と述べた。
(※1)SELF TURN(セルフターン)とは、「働き方=生き方」と捉え、自分自身(oneself)の可能性を最大限に生かせる仕事を探すこと。 企業規模や、報酬、働く場所に捉われず、「自分の生きがい」という本質を探し、本来の自分に帰って(TURN)、自分らしく働く」を見つめること。
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デンソーから転職したビジネスマンが浜松のベンチャーにいる理由ー「普通スタートアップ」が日本を変える?
株式会社里灯都「林業×光技術でイノベーションを起こす」
林業の活性化を技術を用いて実践する光産業創成大学院大学発企業である株式会社里灯都(本社:静岡県浜松市浜北区)は、第4回はましんチャレンジゲートでテーマ「天竜木材を世界に!!~光技術による天竜杉の乾燥促進処理~」で創業部門の優秀賞を受賞。『始動 Next Innovator2017』に参加し、シリコンバレー派遣メンバーにも選ばれた。日本の木材自給率は1960年代に90%だったものが、30%まで低下(※2)しており、使用する木材の70%を輸入している現状がある。株式会社里灯都は、日本の木材にテクノロジーで付加価値をつけ、イノベーションを起こしていく。浜松市は林業の再生に力を入れているFSC®認証制度(森林認証制度)(※3)の先進都市。「お客様から直接ヒアリングし現場での困りごとを解決するべく活動していく」と述べた。
(※2)引用先:政府統計の総合窓口(e-Start)|木材需給の推移
(※3)FSC森林認証制度は、森林問題解決のために「持続可能な森林経営」を森林認証で実現するための制度。
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林業×光技術で日本の木材を世界に!里灯都(リヒト)代表酒井氏インタビュー
株式会社Harmony For「もっと多くの優秀な留学生が多様に日本で働けるように」
“働きたい”外国人と“働いてほしい”日本企業のギャップを埋めるマッチングサービス事業を展開する株式会社Harmony For(本社:愛知県名古屋市西区)。留学生の約7割が日本企業に就職希望しているにもかかわらず、実際に就職できるのは約3割に留まっているのが現状(※4)で、真面目で優秀な留学生ほど、日本での就職活動がうまくいかず、ビザが切れて帰国するという問題がある。海外では、在学中は勉学にはげみ、卒業後に就職活動を開始するのが一般的だ。また、日本独特の総合職就職や一括採用は、留学生からすると価値観のギャップがある。「個性を活かしあい共存する社会を」目指し、外国人留学生に特化した就職サポート・企業の採用支援事業を展開している。2016年8月に会社を設立し、現在まで約30社から依頼があり、5名の内定者が出ている。「今後のビジョンは、もっと多くの優秀な留学生が多様に日本で働けるようにすること。そして、日本の就活文化をぶっこわしたい。」と述べた。
(※4)引用先:文部科学省|平成29年「外国人留学生の就職促進について (外国人留学生の就職に関する課題 等)」
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『Tongaliビジネスプランコンテスト2017』受賞チームとビジネスプランを紹介!
静岡大学副学長・木村雅和氏は「静岡大学は、この地域を活性化したいと考えている。地域がこれから伸びていく上で、ベンチャー企業や中小企業にも期待しています。」と総評を述べました。
ピッチタイムの後は参加者のネットワーキングの時間が設けられ、和やかな雰囲気の歓談を通して業種や年齢の垣根を越えた交流が生まれました。浜松市長・鈴木康友氏は「やる気と情熱を持った仲間を集め、このコミュニティを大きくしていってほしい。」と感想を述べました。
2017年4月頃よりスタートしたHamamatsu Venture Tribeの構想。9月12日に開催されたHamamatsu Venture Tribe 1st MeetUpを皮切りに浜松で視座の高いベンチャーネットワークを構築し、地域の活性化ひいては社会の発展に貢献することが期待されています。