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楽天の成功を見届けシリコンバレーで起業|元楽天取締役 安武 弘晃 氏|Venture Tribe Special Talk


6月14日(金)、浜松いわた信用金庫板屋町支店にて、「Hamamatsu Venture Tribe」が開催されました。Special Talkの今回は、ゲストスピーカーとして、楽天株式会社の元取締役常務執行役員である安武弘晃氏が登壇。「Zero to One、ゼロから事業を創り上げる」をテーマに、楽天の立ち上げ事例とシリコンバレーでの創業ストーリーについて講演しました。
本記事では、その内容の一部を抜粋してお伝えします。

目次

1人が成功すれば、後からチャレンジャーが続く


「楽天時代、ゼロから事業を立ち上げるのは、苦労の連続でした」と語る安武氏が、楽天株式会社(以下、楽天)に入社した当時の社員番号は“11”。必要な機能のコードを1つひとつ書いて、ECサイトの楽天市場を作り上げることがスタートだったそうです。
今や、国内における一大ECサイトに成長した楽天市場も、安武氏が加わった当初は、「世の中に、インターネットで物を買うという概念がありませんでした。営業すれば『インターネットって、何?』と聞かれるので、その説明からしなければいけませんでした」という状況だったそう。
WEBサービスの開発についても「とりあえず作って出す、出してから考えるの繰り返し。当然、計画通りには行きません」。サービスの改善を続けながら、営業に奔走する日々が続きました。地道な活動を根気よく続けるうちに、だんだんと楽天市場の認知度が高まっていったとのことでした。
そんな楽天も、安武氏が退任するころには社員数約1,600人、海外拠点は30カ所という巨大な企業に成長。楽天の成功に感化されてスピンオフし、スタートアップを立ち上げ成功する元社員も続々と生まれていました。
「コミュニティが大事だと思っています。成功する人がいれば、自分もできるんじゃないかと思う人が出てくるんです」と、Venture Tribeに向けてコミュニティの大切さを語りました。

45歳。死ぬまでに一度、起業と海外移住をしたかった

▲Junifyホームページより引用

楽天は成功し、自身も執行役員として、忙しい日々を送っていた安武氏。45歳のとき、「まだ20年くらい働けると考えると、どうしてもやりたいことがあった」そうです。それは、「起業と海外に住むこと」。楽天の退職を決心し、行動を開始しました。
住む国・地域については、「Airbnbを利用して、シンガポールとシリコンバレーに1ケ月ずつ、家族と一緒に住んでみました。家族から、シリコンバレーの方が良いと言われたので、居住先はシリコンバレーに決めました」。
起業については、「100個のビジネスアイデアを紙に書き出して友人に話してみた中で、ウケが良いものを選ぶようにしました。バズワード(世の中で爆発的に流行っていること)は選ぶまい。これから先に何が来るのかというトレンドについては、良く考えました」。
そんな中、シリコンバレーに住む友人が共同出資者となることが決まり、渡米。モバイル版SaaS(※)の開発を手掛けるJunifyを立ち上げました。
(※)SaaS|サース、Software as a Service。クラウドやソフトウェア上で、必要な機能を必要なときに利用できるサービスのこと。
JunifyでSaaSサービスを提供する訳は、「本業でビジネスを成功させるお手伝いをしたいと思いました。アメリカではエースのポジションにあるソフトウェアエンジニアを、日本でももっと“かっこいい職業”にしたいという思いもあります」。そして、何よりも、「Junifyを、関わる人たちが『いい人生』だったと思えるような会社にしたい」という想いが、創業の背景にあるそうです。
起業から3年目を迎えた今、「価値感を伝えてお金を使っていただくことも難しいですし、お客様の真のベネフィットを見つけていくのも大変です。リソースを投入してスケールしなければならない一方で、そこには“アクセルを踏み込む”勇気が必要です」と心中を語り、オーディエンスの共感を呼びました。
関わるすべての人の幸せを実現すべく、シリコンバレーでチャレンジを続ける安武氏。この日の参加者も勇気をもらい、自分の事業の意義を改めて考えたのではないでしょうか。

次回の「Hamamatsu Venture Tribe」は、9月10日(火)に開催予定です。通常通り、スタートアップ各社によるピッチやネットワーキングが行われます。ますます盛り上がる浜松のスタートアップ熱を感じに、出かけてみてはいかがでしょうか?

登壇者プロフィール|安武 弘晃 氏

Junify Co-Founder&CSO。1998年、黎明期の楽天株式会社へ入社し、エンジニアとしてさまざまなWEBサービスを開設する。取締役常務執行役員として技術部隊をまとめ、2016年1月に退任。アメリカへ移住し、労務管理の最適なソリューションを提供するJunifyを立ち上げる。日本企業の先端技術やイノベーションを組織・経営に活かすアドバイザリーも務める。

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