平井IT・科学技術政策担当大臣、スタートアップと意見交換|「HIRAI Pitch in 浜松」レポート

投稿者 | 2019-07-01

6月8日(土)、リンクウィズ株式会社(浜松市東区)本社にて、内閣府主催の「HIRAI Pitch in 浜松」が開催されました。「HIRAI Pitch」とは、平井卓也IT・科学技術政策担当大臣が主宰する産学官関係者との意見交換会のこと。望まれる未来社会からのバックキャスト的に、新たなイノベーションを起こす目的で開催されています。

イノベーション拠点での開催は、今回の浜松で9カ所目。浜松に関係の深いスタートアップ10社、および、支援機関の5者が招へいされ、ピッチとディスカッションが行われました。本レポートでは、当日の様子をお伝えします。

HIRAI Pitchについて

正式名称を「Pitch to the Minister 懇談会」と言い、創造する未来社会からバックキャスト的に新たなイノベーションを起こしていくため、情報通信技術(IT) 、科学技術、知的財産戦略、クールジャパン戦略、宇宙開発等はどのように進めていくべきか、平井国務大臣と産学官関係者との間で幅広い意見交換を行う懇談会を開催する。

▼過去の開催地および発表者はこちら
https://www.cao.go.jp/others/soumu/pitch2m/region.html

Pitch(ピッチ)とは

新しいアイデアやビジネスを端的にプレゼンテーションする意味で用いられる言葉。シリコンバレーで投資家へのプレゼンを「Pitch(ピッチ)」と呼び、さまざまなピッチイベントが行われている。

HIRAI Pitch in 浜松 参加者

1.Hamamatsu Venture Tribe 代表 小川 健三 氏
株式会社NOKIOO 代表取締役 小川 健三 氏
2.リンクウィズ株式会社 代表取締役 吹野 豪 氏
3.パイフォトニクス株式会社 代表取締役 池田 貴裕 氏
4.株式会社こころ 代表取締役社長 渡邉 一博 氏
5.株式会社PEER 代表取締役 佐藤 真琴 氏
6.合同会社ことゆく社 代表 和久田 麻衣 氏
7.株式会社モリロボ 代表 森 啓史 氏
8.トレジャーデータ株式会社 マーケティング担当ディレクター 堀内 健后 氏
9.株式会社ブルックマンテクノロジ 代表取締役 青山 聡 氏
10. We will Accounting Associates 代表取締役 杉浦 直樹 氏

支援機関・支援者

1.支援機関浜松市 浜松市長 鈴木 康友 氏
2.浜松ベンチャー支援アドバイザー 東 博暢 氏
※株式会社日本総合研究所プリンシパル
3.浜松ベンチャー支援アドバイザー 池野 文昭 氏
※Stanford university Medical Director/Research Associate
4.静岡銀行 イノベーション推進室長 石田 秀行 氏
5.浜松いわた信用金庫 常務理事 平井 正大 氏

「スタートアップの力で“令和”の実現を」平井卓也IT・科学技術政策担当大臣 冒頭挨拶

開始にともない、平井大臣より以下の通り挨拶がありました。

(HIRAI Pitchは、スタートアップの)みなさんにアドバイスができるよう、行ってきた取り組み。少子高齢化による人口の減少が進む中で、みなさんの潜在能力を開放することで、明るい未来、社会を実現したいと思います。高齢者が安心して生活できるとともに、若い人たちがいろんなことにチャレンジして、イノベーションを起こす。(すべての人が)うまく調和できる時代を次世代に作れば、令和を英語で表した『Beautiful Harmony』になると思っています。(浜松は、)オープンテック系の強いエリアだと思います。みなさんが力を発揮できるように、応援させていただきたい

「Venture Tribe」に見る浜松のスタートアップ動向

浜松のスタートアップコミュニティを代表して、株式会社NOKIOOの代表取締役 小川 健三 氏より、「Venture Tribe(ベンチャートライブ)」の説明がありました。

Venture Tribeは、浜松市のスタートアップ5社が協力して、2017年に立ち上げたスタートアップコミュニティ。“Tribe”は、部族の意味。同じ志や熱意を持った起業家たちが主体となり、浜松のスタートアップを盛り上げるためのネットワークを展開しています。毎回の参加者は50名を超え、ピッチやセミナーを通じて学びを深めてきました。参加者同士による新会社の設立や、起業を目的としたUターンなどの成果も見え始めています。今後も活動を継続し、Venture Tribeに集う仲間の成長と成功を促していきます。

スタートアップピッチ10社

浜松をけん引するスタートアップの10社が、それぞれの事業やビジョンを3分間で発表しました。

女性の活躍を推進するプラットフォームの展開|株式会社NOKIOO


2011年の創業から、WEBやアプリケーションの開発を主軸に発展してきたNOKIOO。近年、地域社会と産業を活性化する、女性活躍推進事業を立ち上げました。子育て女性の「学ぶ」「働く」「自立する」を軸に、さまざまなサービスを展開しています。2017年には、ITやキャリア教育により、女性の再就職を促す「IT人材育成セミナー」を事業化。学歴や職歴、スキルがありながらも、結婚や子育てのために仕事を離れていた女性たちを、伸び行く中小・スタートアップ企業へ繋ぎます。ワークスタイル変革やダイバーシティの活用、ITスキル教育などを通じて、企業変革もサポート。今後は、IT人材育成のモデルケースを、他地域にも展開したいとのこと。蓄積したデータベースを活用した次なるビジネスフェーズも見据えています。

ロボティクスの力で中小企業のモノづくりを支える|リンクウィズ株式会社


リンクウィズは、インテリジェント・ロボット・システムとソフトウェアの開発・販売を行うスタートアップです。人の技(作業・動作)を認知し、ロボットに再現させるソフトウェア開発を行っています。工場内のロボットをネットワーク化することで、センサー感知ではできない根本的な工場全体の見える化を図ります。
現在、2回目のファイナンスを終え、資本金は11億3,500万円に。多様なバックグラウンドのメンバーが働き、外国人の数は全体の3割を超えました。2019年度は、ドイツ・アメリカをはじめ、海外に4拠点を立ち上げる計画です。「from浜松、forグローバル」日本のものづくりを支えるソフトウェア技術を地元から世界に広げていきます。

光パターン形成LED照明「ホロライト」の事業展望|パイフォトニクス株式会社


視認性の高いパターン光を発生できるLED照明装置の「ホロライト」を製造、販売するパイフォトニクス。光産業創成大学院大学で生まれたスタートアップです。光技術をさまざまなシーズやニーズと融合し、価値ある製品を世に出すことをミッションとしています。2017年10月には、ホロライトビル(本社と工場を統合)を開設しました。
2006年の創業から、売り上げは順調に推移し、「ホロライト」の用途は拡大しています。近年で急増しているのは、工場内で危険領域などを知らせる安全対策としての引き合いです。2019年4月には、フォークリフト用注意喚起照明として量産製品をリリースしました。2019年度に30名を超えた社員の中には、7名の学位取得者を迎え、社内体制を強化しています。日本のほか、米国、中国、欧州でも特許を取得。本格的にホロライトの海外販路開拓を進めていく計画です。

スリランカ向けの日本食材の商材開発と流通を強化|株式会社こころ


飲食店管理のインフラやクラウドサービスを提供するのは、外食ITベンチャーのこころです。7業態21店舗にのぼる実店舗経営で培ったノウハウをもとに、新たな事業を展開しています。仕入れから中間製造、消費者への提供まで「外食産業の川上から川下まで」すべてを自社コントロールするモデルを構築中。新会社の株式会社LALACOCOLOGYを設立し、スリランカへの日本食材の輸出を行います。1人あたりGDPの水準が高い一方、日本食の流入が少ないスリランカは、日本の外食企業にとってのブルーオーシャン。国内でITの基盤を強化しながら、スリランカを皮切りにアジア・インド地域の日本食需要を開拓していきます。今年度の売り上げは15億3,500万円を見込み、浜松発の外食産業での上場を目指しています。

医療と生きるすべての人へ変わらぬ日常生活を|株式会社PEER


PEER(ピア)は、がん患者専用の美容室運営と、ウィッグの販売を行うソーシャルベンチャーです。がん治療の副作用により脱毛してしまう患者が、アピアランスやライフスタイルについての相談ができる場を提供しています。
佐藤氏が創業したきっかけは、看護実習の現場で、白血病患者の不自由な日常生活を目の当たりにしたこと。病人などの弱者が、その人らしく生きていけるサービスを提供したいと、PEERをスタートしました。
次なるチャレンジは、がん患者向けのライフスタイル専門店の拡充です。主要な病院5㎞以内に物件を確保し、美容室や調剤薬局などのテナントを誘致。がん患者と事業者、地域のネットワークを形成し、地域でがん患者の日常生活をサポートする仕組みをつくります。
長寿社会となり、医療とともに生きる人が増えている日本。人々の不安な心を支える事業を推進していきます。

体の負担を軽減するランドセルで、子供の自発性を育てる|合同会社ことゆく社


軽量で高性能のランドセル、「raccu(ラック)」を開発・販売することゆく社。従来型のランドセルの負担に疑問を抱いたママデザイナー2名により、2018年8月に設立されました。「raccu」の特徴は、軽量化です。総重量を通常のランドセルの約半分、770グラムに抑え、子どもが感じる荷重を緩和しています。また、水筒などの手荷物も「raccu」1個に収まる設計に。児童の両手を開放し、通学中の安全性に大きく貢献しました。2018年11月に実施した、クラウドファンディング上での予約販売は、目標を大きく上回って着地。2019年には、市内の百貨店で「raccu」の販売も開始しています。
ランドセルを選べる経験を通じ、子どもたちの固定観念を開放することがことゆく社の目標。浜松市に自由でいきいきとした子どもを増やしたい考えをアピールしました。

クレープロボット「Q」の製造販売|株式会社モリロボ


モリロボは、調理ロボットの開発・製造に特化した、ロボットベンチャー。世界的な自動車メーカーで培った製造技術を、人手不足が深刻な外食産業に展開したいと起業しました。ボタンひとつでクレープ生地を焼き上げる、クレープロボットの「Q」を販売しています。
森氏は、自社を「世界一“ケチ”なベンチャー」と豪語します。“ケチ”とは、高価な最先端技術は使わず、身のまわりにある技術や製品を使って、新たな製品を生み出すという姿勢のことだそう。「Q」にも、机の引き出しやレコードプレーヤーといった、身近ながら熟成されたカラクリが駆使されています。
「浜松産」にこだわるモリロボは、「Q」の製造も地元企業にすべて依頼。3色の1枚生地を焼けるようにも改良し、好評を呼んでいます。穀物を用いた薄焼きの料理は世界中にあり、「Q」のマーケットは広いと、意気込みを語りました。海外からも多くの引き合いが来ており、「Q」を販売していきます。

ビッグデータの収集・解析を地方の活性化にも|トレジャーデータ株式会社


ビッグデータの取集・解析サービスを展開するトレジャーデータは、2011年、シリコンバレーで日本人3名が興したスタートアップ。2013年に東京へ“逆輸入”され、2018年8月には、半導体設計大手の英アームに売却されました。延べ400社の顧客がプラットフォーム内に格納するデータは、120兆件を超えます。開発は、日本の優秀なITエンジニアを採用し、国内でも行っています。
支援機関として後出する静岡銀行でも、トレジャーデータのプラットフォームを採用することが決まりました。地元の金融機関通じて、地域のあらゆるデータを収集・分析し、地域活性化のために活用していくことで合意しています。静岡県下の企業と首都圏のICTベンチャーのマッチングプロジェクト「TECH BEAT Shizuoka」(後述あり)への協力も進めています。

半導体のニッチトップ、8K放送を実現したCMOSセンサー|株式会社ブルックマンテクノロジ


静岡大学発の半導体ベンチャー、ブルックマンテクノロジは、CMOSイメージセンサーの開発・販売を行うファブレス企業です。静岡大学・川人祥二教授の研究成果を製品化し、イメージングデバイスを提供しています。ブルックマンテクノロジのセンサーデバイスは、検査装置や暗視カメラ、医療機器向けと言った特殊なものばかりです。また、超高精細な映像を実現する「8K」スーパーハイビジョンカメラ用イメージセンサーをNHKなどと共同開発。現在、市場に流通しているフルスペック8K放送カメラの100%が、ブルックマンテクノロジのイメージセンサーを採用しています。ブルックマンテクノロジの技術により、2020年東京オリンピックの臨場感あふれる様子を8Kテレビで見られるようになりました。
「誰もできないこと・誰もやらなかったこと」に挑戦することで、ニッチマーケットを席巻してきたブルックマンテクノロジ。今後は、2D(画像)だけでなく、3D(距離)センサー分野におけるリーダー企業を目指し、日本の半導体業界をけん引していきたいとのビジョンを語りました。

バックオフィス業務の外注、効率化で企業の成長を支える|We will Accounting Associates株式会社


税理士法人Wewillから派生したWewillAA(ウィーウィル.エーエー)は、必要な事務“人材”を必要なときに使える、クラウドサービスプラットフォームを展開しています。We will AAの事務インフラを活用することで、スタートアップや中小企業は本業の成長に注力できます。
18年間、税理士の仕事に携わる中で、「1人しかいない事務スタッフの急な退職や、新しい仕組みに対応できない現場をたくさん見てきた」杉浦氏。We will AAのサポートチームは、クライアント先のオペレーションの最適化までを行います。対象業務は、会計・経理から人事労務、営業事務、契約書管理の4領域。それぞれに対応する市販クラウドを導入すると、We will AAによるオペレーションサービスを受けられます。
杉浦氏は、静岡大学生を中心とした、ITに特化した人材ネットワークづくりにも取り組んでいます。2019年7月、ハブとなる拠点のオープンを予定しています。

支援者・機関5者によるピッチ

続いて、浜松のスタートアップを支える支援機関より5者がピッチを行いました。

浜松市長 鈴木 康友 氏


2019年4月に4期目を迎えた鈴木市長は、「浜松バレー構想」実現への意気込みを語りました。浜松バレー構想とは、名だたるベンチャーを生み出すシリコンバレーに学び、浜松市をスタートアップの集積・醸成都市にしていく取り組みです。2015年ころに始まり「ヒト・モノ・カネ・情報」にまつわる支援が行われています。
まず、2017年に、スタートアップコミュニティの浜松ベンチャー連合が始動。2018年には、コワーキングスペースの「トライアルオフィス」を市街地に、東京など遠方の企業が活用できる「舞阪サテライトオフィス」を、それぞれオープンしました。2019年には新たに、2件の取り組みがスタートします。1つは、ベンチャー経営塾として、創業に必要な学びが得られる場をグロービスの運営にて提供。もう1つは、ベンチャーキャピタルへの助成事業です。浜松市の認定を受けたベンチャーキャピタルが、同市のスタートアップへ出資した場合、出資額の半額が交付されるというもの。日本で2番目という広大な面積を有する浜松市を、実証実験のフィールドとして提供する取り組みも始動しています。最後に、鈴木市長は、浜松バレーの出現に向けて、自ら先頭に立って施策に取り組んでいく考えを示しました。

▼浜松市のベンチャー支援については、「HAMACT‼(ハマクト)」サイトをご参照ください

株式会社日本総合研究所プリンシパル 浜松ベンチャー支援アドバイザー 東 博暢 氏


システムインテグレーション・コンサルティング・シンクタンクの3つの機能を有する総合情報サービス企業の日本総研。同社が行うスタートアップ支援は、産業界を“大連合”にまとめ上げ、全体でイノベーションを起こす取り組みに集約されます。異業種連携による事業開発コンソーシアム・III(トリプルアイ)や優秀なビジネスプランを募り評価後の支援まで行う「未来」などを展開。産業界や業種の壁を取り払い、エコシステムを形成し、アクセラレーションプログラムを実施することで、国内外に新しい産業を生み出しています。
昨年、浜松市におけるベンチャー支援策を検討する中で、「街の課題が見えた」という東氏。今後は、浜松市やスタートアップと連携し、街・くらしの課題解決も進めていくとのこと。先端技術を産業だけでなく、文化とも融合させていきたいと話しました。

スタンフォード大学 浜松ベンチャー支援アドバイザー 池野 文昭 氏


2001年より米スタンフォード大学に渡り、ベンチャーキャピタルの立ち上げや、起業家育成、医療機器や薬の開発などに携わってきた池野氏。2017年には、故郷である浜松市でも、「光の尖端都市・浜松が創成するメディカルフォトニクスの新技術」プロジェクトを開始しました。すべての地場産業に共通するのが「光技術」。「浜松は光技術の尖端都市。また、ユニークな技術や産業が集まっている。大学とのマッチングにより、地元中小企業のイノベーションを加速させたい」。
静岡大学と浜松医科大学が、大学再編へ向けて法人統合で合意したことに合わせて、「医工(光)連携の文脈の中で、浜松に生きるすべての人が健康で長生きするための機械」などを作ります。すべての人が幸せに一生を終えられる浜松市の実現から、世界の医療へ貢献していく考えです。

静岡銀行 イノベーション推進室長 石田 秀行 氏


静岡銀行からは、7月24日(水)・25日(木)に第1回目の開催を迎える「TECH BEAT Shizuoka」の紹介がありました。TECH BEATは、静岡県内の企業と国内有数のICTスタートアップをマッチングするイベント。基調講演のほか、個別商談会や懇親会が催されます。先端技術を有する首都圏のスタートアップと県内企業のネットワークを構築し、静岡県内におけるオープンイノベーションを促進する狙い。静岡県と静岡銀行の共同企画で、今後も開催を継続していきたいとのこと。スタートアップのジャンルは、IoTや人工知能(AI)、ビッグデータ、VRといったICT領域が中心です。
すでに、県内のロボット製造企業とスタートアップのマッチングにより、新たな事業が生まれた事例もあるそうです。多くの県内企業のTECH BEAT参加を促しています。

浜松いわた信用金庫 常務理事 平井 正大 氏


今年1月、隣接する磐田市の磐田信用金庫と浜松信用金庫が合併し、国内11位(※)の規模となった浜松いわた信用金庫。さらにパワーアップした創業・ベンチャー支援について、4つの取り組みを発表しました。
起業家育成プログラムの「はままつスタートアップ創業スクール」では、創業や第二創業の希望者は、3カ月かけてビジネスプランを練ることができます。問題解決の優れた方法と注目される、デザインシンキングを取り入れていることが特徴です。スクールと並行して、ビジネスコンテストの「チャレンジゲート」を開催。浜松市内の起業家によるメンター制度を導入し、ファイナリストへの徹底した意識改革を行っています。
今年は、西遠地区の全14機関が協賛する「創業サミット」を初開催。創業予備軍を中心に150名が集まり、交流を交えながら創業の心構えを学びました。2020年1月に開設が決まった「イノベーションハブ拠点」の設立は、同金庫“最大の挑戦”です。2年間の職員派遣により培った、シリコンバレーの起業家マインドや行動様式を地元に還元します。新設された地域産業創造部より、6名の職員が常駐。3Dプリンターを設置するなど、新たなものづくりも支援します。
※合併当時、預金残高ベース

起業家から寄せらる“声”に平井大臣が応答


その後のディスカッションでは、参加者全員での意見交換が行われました。起業家の生の声を届け、また内閣府からアドバイスをもらう貴重な機会となりました。

※カッコ内は捕足。
※文中「石井氏」は、内閣府、イノベーション創出環境担当、企画官石井芳明氏。

平井大臣:日本全国で、産官学が連携して、スタートアップエコシステムを作ろうという動きがあります。若い人の意識も変わりつつあります。しかし、ユニコーンの数はコロンビアにも負けている状況なんですよね。高いポテンシャルがあるにも関わらず、“何か”が足りないということで、地域を回ってきて(現場の課題解決になる)政策に落とし込むということをやってきました。

その中で、浜松のポテンシャルは非常に高いと感じています。今まで、女性経営者がピッチに参加した例は少ないです。それから、みなさんは仲が良いですね。浜松は横の繋がりが出来ている印象で、これは、スタートアップエコシステムを創るには重要な点。Venture Tribeも、(エンターテイメント性があり)良い感じです。

困ったことがあればぜひ、私もご協力させていただきたいと思います。要望事項があればお話しください。

吹野氏:外国人の優秀な人材が集まっているものの、ビザの取得に時間がかかっています。外国人材に日本で働いてもらえるように、浜松市で特区政策のような形を推進してもらえないでしょうか?日本に来たいという外国人材は、非常に多いんです。

平井大臣:ビザ(の取得要件の緩和)は、検討しなくてはいけないと思っています。ただし、ビザ取得者が日本企業を辞めてしまったときの対応が難しい。スタートアップ企業に移行することが、なかなかできません。とくに、高度人材(ビザの対応)は急がないといけませんね。

石井氏:全国の都市の比較をしていると、浜松は外国人就労の比率がとても高いんですよね。ぜひ、応援できればと思っています。

池田氏:静岡大学にはIT系の優秀な学生がたくさんいますが、優良な大手企業に行ってしまいます。しかし、実際に話をすると、起業をしたいという声が意外と多いのです。もうすこし、(スタートアップと)大学との接点が増えるとありがたいです。

杉浦氏:大学内でビジネスを立ち上げようとするときに、大学側から支援を得ることが難しいという話も学生から聞きます。もしそうした事実が、実際に制度としてあるのなら、変えた方が良いと思いますね。

平井大臣:静岡大学に(九州大学のような)「起業部」をつくることからスタートすると良いと思います。そして、部活の活動を指導してくれる先生が1人いることです。例えば、九州大学の起業部は、なかなかかっこいいですよ。

池野氏:九州大学の起業部のアドバイザーをしています。九州大学だけでなく、東大や京大をはじめ、「起業することが俺たちのプライドだ」という学生はたくさんいますね。

平井大臣:ちなみに、We will AAのビジネスモデルでいうと、IT補助金が(普及・販促のために)ドンピシャですよね。静岡県は、IT導入補助金の採択率が低い。要するに、みんな知らないのでしょう。ぜひ、活用することを検討したらどうでしょうか。

吹野氏:これも私が直面した悩みですが、第一回目の第三者増資を実行する際に、資本政策を相談できる人が(地元に)いなかったのは大きな問題だと感じました。たくさんのストックを留保しなければ、ベンチャーはセカンド・サードラウンド(2回目以降の増資)が実施できません。最初に適切なアドバイスをしていただける仕業の育成を、起業家育成と並行して進めていただけないでしょうか。

平井大臣:大事なところですからね。最初から資本政策も考えて事業をスタートしなければ。

石井氏:資本政策だけは、後戻りができません。日本の投資契約は、投資家側に強くなりやすい傾向があるので、適切な契約形態を相談できるようにしたいですね。

池野氏:実際のケースを講義してくれる方もいてほしいですね。

渡邉氏:まだマーケットがなかったり、日本の出先機関がほとんどないというスリランカにおいて、小規模事業者が現地の情報を得たい場合はどうしたら良いでしょう?

平井大臣:現状では、JETRO(頼み)になってしまいますね。

石井氏:JETROは、インドまではカバーしているのですが。

平井大臣:大使館や経産省の人も現地にいるので、調べてご連絡します。

佐藤氏:ソーシャルベンチャーの支援もいただけると嬉しいです。PEERは、ここにいるほかの企業より、成長率では適いません。ただし、成長を支える人(働き手)を増やす・支えるという意味では、みなさんの成長を支えていることになります。

平井大臣:おっしゃる通りです。(PEERの場合は)場をつくり、場に対してマネタイズしてもらうことが良いのではないでしょうか。医療関係だけでなく、化粧品会社や食品会社も考えられるのでは?

石井氏:ソーシャルインパクトを評価してあげる必要がありますね。

平井氏:社会にとっては(ソーシャルベンチャーの働きが)絶対に必要ですからね。ところで、「raccu」はいくらで買えるんですか?

和久田氏:税別で27,000円です。平均値は5万円を超え、年々上がっています。今、小学生の負担は増えているんです。少子化の影響で学校数が減り、登校距離が長くなっています。ゆとり教育が終わって、教科書のページ数は、約30%も増えました。小樽のように、ランドセルが使われていないエリアもあります。私たちも、まず浜松から(小学生の負荷をすこしでも軽くできるよう)変えていきたいと思っています。

平井大臣:どうせやるなら、教育の部分にも手を付けなければいけませんよね。それから、モリロボは、すごくイケてるんじゃないですか?私も欲しいくらいですよ。

森氏:ありがとうございます。必ずと言って良いほど、見た人から「あれは、なに?」と言っていただけるんです。施設やイベントのプロモーション用に使ってもらうほか、YOUTUBEから海外の引き合いも多く来ています。

平井大臣:最後、金融機関さんが頑張っているので話を聞きましょう。

池田氏:ICT人材が不足しています。政策などで、啓もう活動をしていただけると、ICT人材がスムーズに企業に流れるかもしれません。

平井氏:若いうちの起業家教育は非常に大切ですね。小学校には、英語やプログラミング教育が導入されました。中学生に、起業家の授業を入れたら良いのではないでしょうか。

平井大臣は、「(浜松は)非常に頼もしい。こうして皆さんがプラットフォームになっていることが、浜松の強み」と語り、内閣府としてもPitchでの意見を、今後の政策に反映させていく考えを示しました。

▼6月11日の閣議後記者会見でも、平井大臣より「HIRAI Pitch in 浜松」の報告がありました。

平井 卓也 氏プロフィール|

衆議院議員。1958年生まれ。上智大学外国語学部英語科を卒業後、株式会社電通に入社する。香川県第1区より7回の当選を果たす。
現在は、内閣府国務大臣として、IT政策、クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策の分野における日本の産業力向上に尽力している。平井卓也氏ホームページは、こちら

編集者コメント|

平井大臣からは、女性起業家の参加や、浜松にスタートアップコミュニティが形成されていることへ関心が寄せられました。スタートアップ醸成都市として、浜松市が全国に知られるきっかけとなったのではないでしょうか。「浜松バレー構想」の発展に期待が高まります。

画像協力:株式会社filments

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SugawaraMisaki について

浜松の魅力を伝えるライターとして、主にwebメディアで執筆中。千葉県出身。東京で不動産会社にて勤務、タイ国・バンコクへ出向する。帰国後は、浜松市の土地と人の温かさに惹かれて移住。市内の産業界を中心とする浜松の情報を発信している。得意分野は、農業・インダストリー・スタートアップ・独学英語・コミュニケーション・ビジネス。