不動産事業の多角経営で、浜松に新しいライフスタイルを提供する|株式会社スズヒロ 代表取締役 古橋 啓稔氏にインタビュー

投稿者 | 2018-11-10

20政令指定都市「幸福度」ランキング2018年度版(東洋経済新報社より刊行)で、総合ランキングのトップとなった浜松市。生活環境や雇用が安定しており、その暮らしやすさが評価されています。しかし、住宅総数の13.9%が空き家となり、有効な活用がされていません(浜松市 空家等対策計画 資料より)。

そんな浜松市で、ライフスタイルの観点からリノベーションを行い、“暮らし”に関する付加価値を提供しているのが、株式会社スズヒロ。今回は、アウトドアをテーマにしたシェア兼ゲストハウスの「365BASE」を訪ね、古橋代表にお話を伺いました。

古橋 啓稔 氏|プロフィール

大阪の大学を卒業後、大手のアパレルメーカーに入社。首都圏で店長職を経て、商品企画の業務を担当した後、浜松市へUターン。不動産の管理業を経験し、仲介業を手掛ける株式会社スズヒロの代表取締役に就任する。リノベーションを通じた物件の高付加価値化や、物件のセレクトサイトを運営する。浜松市主催のリノベーションスクールでも講師を務める。

アパレルからの転身、仲介業を皮切りに不動産事業を多角経営

菅原:はじめに、会社と事業の紹介をお願いします。

古橋:スズヒロは、今年で59期目の不動産宅建業を行う会社です。創業者である祖母から私が継承し、不動産の仲介業とリノベーションや工事の請負業をしています。そこへ付随して、シェアハウスやゲストハウスの運営とレンタカーの貸渡業を行っています。

菅原:多角的に不動産業の経営をしているのですね。古橋さんは、起業前から不動産の業界にいたのですか?

古橋:いえ、大学を卒業してから10年ほど、アパレルメーカーに勤めていました。店長を7年間務めた後、本社で商品企画の仕事をしましたね。

菅原:どのような理由から浜松に戻る決断をされたのでしょうか?

古橋:勤務先のアパレル企業がグローバル展開をしており、私にも、海外へ転勤する話が持ち上がったことです。当時、小学1年生と幼稚園に入学する娘がおり、家族と離れるのはつらいと思いました。

また、当時の社長が「これからはグローバルな時代。人と逆の方向へ行こう」というメッセージを発信していました。グローバルの逆といえばローカルだなと。さらに、究極のローカルな仕事は何かと考ると不動産だと思い立ち、地元の浜松に帰って不動産会社に転職をしました。

菅原:アパレルとは全く異なる業界への転身となりましたね。不動産会社では、どのような業務を経験したのでしょうか?

古橋:賃貸オーナーへ空室対策やリノベーションの提案を行っていました。本当は、「不動産業=売買」のイメージがあったのですが、ご縁をいただいたのが不動産管理業だったんです。それが逆に勉強になりましたね。約1万戸も物件を管理している会社だったので、業務を通じて大体のデータが分かったのです。簡単に言うと、どういうマンションにどんな人が住んでいるかということです。

菅原:そこから、どのように自分のビジネスを始めていったのでしょうか?

古橋:帰郷した2011年当時、不動産会社に勤めながら、浜松にまだなかったカーシェアリングのサービスを手掛けました。車社会の浜松では、一家で2台のベースで車を所有しています。世帯の平均所得が約440万円の浜松市民にとって、車の維持コストは大きな出費になっていると考えたのです。

2台のうち1台をシェアカーにすれば、節約できるお金でもっと豊かな生活ができると思いました。子どもの教育資金にかけたり、家族で旅行に出かけたり。

菅原:素晴らしい着眼点ですね。不動産業には、どのような経緯で着手していきましたか?

古橋:今、「365BASE」として運営しているこちらの物件の再生から始まりました。あるとき、ホテルの社員寮として貸していたこの物件が、急きょ解約となり入居ゼロになってしまったんです。

菅原:そうした経緯で、リノベーションを行ったのですね。どのように当時の物件価値を捉えていましたか?

古橋:リフォーム前の「365BASE」は、1部屋の賃料が30,000円~35,000円で、稼働率は80%を見込む物件でした。浜松は物件の供給が多いため家賃の相場が安いことに加え、洗面台、風呂、トイレが一体となった3点式のユニットバスのある古い物件なので。そこにお金をかけて新築同様にしても、新築物件との勝負になるので勝つのは難しいと考えていました。

菅原:確かに、厳しい戦いです。

古橋:競争に巻き込まれないように収益を上げないといけない。そこで考えたのが、1階の不稼働なスペースを、バリューアップ戦略に活用することでした。

そもそも、角部屋に住みたい方が多いため、1階の中部屋は家賃を高くできません。思い切って、1階の空き部屋を入居者さまが自由に使える共有スペースにしました。

残りの部屋もリノベーションで付加価値を付けて、賃料を少しプラスします。そうすれば、この物件に関わるみんながハッピーになれると思いました。

菅原:マーケティングは、どのように進めていったのでしょうか?

古橋:データをもとに、どのような属性の方に借りてもらうかを考えました。アンケートをとって、希望の階層や水回りのこだわりといった、細かなニーズも掴んでいきました。

その上で、アウトドアをテーマにしたシェア住居という「365BASE」のコンセプトを打ち立てて、物件を作り上げていきました。

菅原:なぜアウトドアをコンセプトに採用したのでしょう。

古橋:音楽やバイク、ペット可など、さまざまなコンセプトを考えた中で、最も裾野が広いと思ったからです。本気で登山をする人だけではなく、散歩したり自転車に乗ったり、バーベキューを楽しむのもアウトドアですよね。

菅原:浜松に中々なかったコンセプトでもありますね。

古橋:浜松は“街自体がアウトドアの街”です。全国に20ヵ所ある政令指定都市の中で唯一、海に山、湖や川に囲まれた都市なんです。

そこで、リノベーションやコンセプトメイキングに、浜松という特異性も入れていきました。天竜区春野町(浜松市北部の山あいのエリア)の松を切り出して梁として使ったり、エントランスには宝地図を模して浜松のアウトドア情報を掲示したり。「浜松=アウトドアの街」というメッセージを、随所で伝えています。

▲浜松市内のアウトドアマップ(宝地図)

菅原:その結果はいかがでしたか?

古橋:35,000円という相場に対して、直近の平均家賃が54,000円まで上がりました。相場と比べて、毎月の家賃収入は35万円アップです。プラス10部屋分を「365BASE」で稼いでいることになります。

菅原:素晴らしい成功ですね。

古橋:それまで、不動産会社に勤めながら、自分のアイデアをもとにいろいろなチャレンジをしてきました。そのキャリアも3年が過ぎたころ、更なるチャレンジをしたくなり独立を決意しました。

365日の充実のために、浜松にまだない価値を提供する

菅原:独立の最初は何をしたのですか?

古橋:不動産の仲介業で独立することを検討しました。ですが、既にある大手や中堅の企業と同じことをしても競争に勝つことは難しいです。そこで、20〜30代の視点でオシャレでユニークな物件だけを掲載する、不動産のセレクトサイトの「365LIFE」をローンチしました。

菅原:このメディアを運営することになったきっかけは何でしょうか?

古橋:365BASEのようなリノベーション物件が持つ独自の価値が、伝わりにくいということに気付いたことでした。一般的な不動産のポータルサイトでは、立地・間取り・設備・家賃・築年数のみで物件が掲載されます。

実際に、シェアハウスである「365BASE」は、既存の不動産ポータルサイトでは本来の価値が伝えられず苦労しました。これまでの不動産の検索基準だけでは伝わらない物件の価値を伝えていくことが、必要だと感じたのです。

菅原:「365LIFE」というネーミングは、どんな発想からきているのでしょうか?

古橋:会社の創業にあたり、どんな価値を提供していきたいかと考えたときに、あらゆる人に「365日充実の日々を提供する」という思いをブランド名にしました。

菅原:アイデアに始まり、ニーズを掴んで軌道に乗せていくのは、まさに起業家ですね。

古橋:私の中に、浜松にまだないものを持ち込んで、浜松のみなさんに喜んでもらいたいという思考回路があるんです。そうすると、オンリーワンにもなりますね。

菅原:起業してから、古橋さんの公私もより充実しましたか?

古橋:はい、毎日がとても楽しいです。能動的に何かを始めて直接的な反響を得られることや、自分でブランディングしていくことには、やりがいを感じますね。

プライベートでも、家族と約束した日には早く帰宅して、みんなでお気に入りのテレビ番組を見ています。いろんな方と会う時間も増えました。勉強や情報収集のために東京に出かけることもあります。

菅原:浜松での人との交流も大切していらっしゃいますよね。

古橋:そうですね、「365BASE」で毎月のイベントも開催しています。12月14日はパジャマナイトを開きます。お気軽にお越しいただけたらと思います。

▼イベント開催情報 facebookページよりご確認ください
https://m.facebook.com/365basehostel

浜松の魅力をライフスタイルから発信していく

菅原:今後は、どのように展開していきますか?

古橋:「365LIFE」を、事業者さまがサイトに直接空き情報を掲載して、不動産の商売をしていただく形にしていきます。成約ベースの広告費をいただいて、私たちはサイトのブランディングに注力する方向です。

菅原:サービスを拡充しているのですね。

古橋:賃貸の延長線上に、一軒家や新築へのニーズも出てくると思います。そこで、浜松市内の住宅施工会社さまを紹介するサイトの「365LIFE DESIGN STUDIO」を開設しました。

中古の物件を売買して、リノベーションの提案もできるようにしいています。売買のサービスに「Renochia(リノッチャオ)」というリノベーションの定額サービスを付けています。

菅原:横展開の可能性もありますか?

古橋:はい。「365LIFE」のユニークユーザーは、月間で3~4万人ほど。浜松市でこれだけの数字が出ているので、静岡市には当サービスへの需要がもっとあると思います。名古屋市にも展開したいですね。

菅原:「365LIFE」に掲載するメリットも教えてください。

古橋:圧倒的に高い成約率です。一般的な不動産の掲載サイトの反響成約率が10%を切る中、365LIFEの反響成約率は35~40%あります。それは、サイトを見て内覧に訪れる人たちが、あらかじめお気に入りの部屋を決めているためです。

1件1件、丁寧に写真を撮って案内文を書いていただくなど、やればやるほど事業者さまの収益が上がるのが「365LIFE」です。

菅原:そんな事業を通じて、浜松のライフスタイルをどう変えていきたいですか?

古橋:遊ぶことが仕事になり、仕事も遊びになれば良いなと思います。そんなライフスタイルを、アウトドアを切り口にして発信していきたいです。

特に、新しく出会う人や海外の方といった、普段あまり話さない人たちと触れ合うと、より楽しくなると思っています。そうした、人が集まる場所を提供していきたいですね。

菅原:最後に、読者へメッセージをお願いします。

古橋:他の都市と比べても、浜松は、雇用も安定していて暮らしやすく良い街です。「浜松においでよ」と、みんなが言いたくなるような街の魅力を発掘して、世界へ発信していきたいですね。

編集部コメント

理想のライフスタイルを叶えるパートナー、スズヒロ/365LIFE。暮らしたい家を見つけ出し、365日充実のライフスタイルを浜松で実現してみてはいかがでしょうか?

▼採用情報
「365LIFE」では、磐田・袋井・掛川市内の物件情報を掲載するライターを募集しています。物件の写真撮影から記事のライティングと掲載までを行い、慣れてきたら物件の内覧までお任せいただけるとのこと。詳細は、こちらをご覧ください。

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SugawaraMisaki について

浜松の魅力を伝えるライターとして、主にwebメディアで執筆中。千葉県出身。東京で不動産会社にて勤務、タイ国・バンコクへ出向する。30歳を目前に「自分を生きる!」と決意し退職。全国を旅して、浜松市へ移住する。現在は、ナチュラルライフを送りながら「マイペースでラク~に生きるコツ」を発信中。得意分野は、オーガニック・農業・旅行・独学英語・コミュニケーション、ビジネス。