プロよりもアマチュアの「もっと上手くなりたい」を大切に | 株式会社SPLYZAの土井代表にインタビュー

投稿者 | 2017-08-23

みなさんは熱中しているスポーツがありますか?あるいは、身の回りでスポーツに熱中している人はいますか?浜松には、アマチュアスポーツマンの「もっと上手くなりたい」を叶えるべく、”スポーツ×IT”の領域で独自のサービスを展開している企業があります。それが、株式会社SPLYZA(スプライザ)です。

SPLYZAはアマチュアスポーツマンやチーム向けの動画編集・共有アプリを開発し、2015年のMicrosoft Innovation Awardでは優秀賞を受賞しました。今回は、ご自身もウインドサーフィンに熱中するSPLYZA代表取締役の土井寛之さんにお話を伺いました。

起業のきっかけは「ウインドサーフィンができなくなったから」?

大好きなウインドサーフィンに熱中する土井さん

岩渕:土井さんはかなりのウインドサーフィン好きで、それが起業にも関係しているのだとか。詳しく教えていただけますか?

土井:そうなんです。30歳の時、どうしてもウインドサーフィン三昧したくて当時勤めていた会社を辞め、1年間オーストラリアに行きました。そのうちに、ウインドサーフィンが楽しすぎて働くことが相対的につまらなく感じてしまうようになりました。平日5日つまらない仕事をして週末2日だけ楽しい人生でいいのかなと… 本当は週7日楽しい人生がいいじゃないですか。

毎日楽しく感じるためには仕事も楽しくなきゃ、だったら自分で起業するしかないとは思いつつも、帰国後もウインドサーフィンはなかなかやめられず… そんなとき、ウインドサーフィンの道具を積んだ車ごと盗まれてしまいました。起業を決めたのはその時です。

岩渕:えっ?盗まれたことと起業に何の関係があるんでしょうか?

土井:私は起業に踏み切ることよりも、ウインドサーフィンをやめる決断ができずにいたんです。ウインドサーフィンの道具がなくなってしまったので、私としては「ヨシッ!もう今しかない!」と。それまでウインドサーフィンに充てていた時間やお金を事業計画作りに充てるようになって、一気に起業にスイッチが切り替わりました。

岩渕:ウインドサーフィンから起業への方向転換には驚きましたが、なるほど、納得しました(笑)

プロ選手の少しの上達よりも、アマチュアの「もっと上手くなりたい」を叶える


岩渕:SPLYZAの主な事業はアマチュアスポーツマン向けの動画分析・編集アプリの開発運営ですね。

土井:ええ。私たちのモットーは「アマチュアスポーツマンの”もっと上手くなりたい”を叶える」です。会社の方向性を一言で表し、目標に向かっていつでも立ち戻れるよう、この言葉を決めました。

岩渕:プロではなくあえてアマチュアにフォーカスしているのはなぜでしょうか?

土井:私もそうですが、スポーツをする人は上手くなりたいと思い続けているんです。上手くなることは自分自身に感動することだし、毎日何時間、何ヶ月もかけて上達するプロセスにワクワクしています。スポーツにおける感動やワクワクの価値を他の人にも提供できたら、と思っていました。

しかし、事業を始めるにあたって”スポーツ×IT”の状況を調べたとき、オリンピックに出るようなプロやトップアスリート向けにしかサービスがありませんでした。私も普段からウインドサーフィンが上手くなりたいと思っていましたが、スポーツ番組などで出てきたIT技術を調べてみれば、どれも数百万円というプロにしか手が届かないものばかり。


岩渕:だから、アマチュアスポーツマンに役立つサービスに着目したのですね。

土井:そう。自分が使いたいものはみんなも使いたいだろうと思い、ITでスポーツの上達を支援できるサービスとしてアマチュア層にスポットを当てることにしました。だって、プロを目指すならまずは上手くならないといけない訳ですから。世の中のスポーツマンの99.9%はアマチュアだから、多くの人に喜んでもらえる可能性もありますよね。

岩渕:たしかに。アマチュアの方はプロよりも使えるサービスが少ないですから、そういった上達への支援サービスは革命にも近いものを感じるかもしれませんね。

土井:その通り。ちょっと上手くなるだけではなく、すごく上手くなる可能性も出てきますよね。プロをターゲットにすれば当然稼ぎやすいかもしれませんが、彼らに対するサービスはすでに存在しています。私たちがちょっと頑張って良いサービスを作ったとしても、プロにとっては大した価値じゃないというか、それによって世の中が大きく変わるわけではありません。

それよりは、アマチュアのように今までサービスがなかった市場や人を対象にすると面白いなと思って。全く何も持っていなかった人に新しい価値を提供した方が、与えられる恩恵も大きいですよね。

世界中から仲間が集まったグローバルな職場、その採用方法とは?

様々な言語で意見が飛び交うグローバルな雰囲気の社内

岩渕:SPLYZAには外国人の社員が多いそうですね。採用で大変だったことはありますか?

土井:先ほど地方起業に関するメリットを伝えましたが、デメリットとしては人材採用があります。でも私は1年間オーストラリアにいたし、SPLYZAは創業メンバーにアメリカ人もいるので、日本人採用にこだわらず外国人採用を試してみようと考えました。一般的にプログラムに関する資料は英語がほとんどですから、日本語だけで資料を読んでいる人より英語でも読める人の方がいい、というのもあります。私が使ったのはLinkedInやプログラマ向けQ&Aサイトのstackoverflow、最近ではJustaやエンジェルリストなんかも利用します。世界中から優秀なエンジニアが集まっているサイトなので、1〜2週間で何十人という数の連絡が来ました。

岩渕:そんなにたくさんの応募があるとは、何か工夫をしたのですか?

土井:工夫というよりは、日本に住んで働きたい外国人が一定数いるので、それが応募のきっかけになります。でも日本で働きたい外国人の問題は、日本語が話せないために、グローバルな体制を整えていない企業でない限り雇ってくれるところが少ないこと。そういった面では私たちは有利ですね、日本語が話せなくても働ける環境があるから。

岩渕:現在、社内の言語環境は?

土井:社員の国籍はアメリカ、イギリス、メキシコ、ベトナム、ホンジュラス…日本語がわかる人もわからない人もいるので、マジョリティは英語ですが、相手次第で言語を選びます。日本人同士ならもちろん日本語で話しますし、会話の中に一人でも英語しか通じない人がいれば英語を使います。相手や状況に応じてベストな言語を選びますね。日本語しかわからない人にとってはちょっと大変かもしれません。

より多くの人にサービスを届け、スポーツ界のスタンダードになりたい

画像引用元:株式会社SPLYZA “SPLYZA Teams

岩渕:今後注力していく取り組みやサービスは何でしょうか?

土井:今年から本格的にサービスを運用しているチーム向けの映像共有・編集分析アプリ”SPLYZA Teams“です。高校・大学の強豪校への導入を目指して動き出しています。今年2月には6,000万円の資金調達もして、この1年はユーザー数を伸ばしていきたいと考えています。

今までは製品を作り出すフェーズだったのですが、これからは世の中に認めてもらうフェーズ。私たちは作る専門家ばかりなので、以前は製品を作っただけで満足していた時期があって。でも作ったら、それを知ってもらって買ってもらってナンボじゃないですか。知ってもらえていないのは、存在していないのと同じ。難しい点ですが、それは今後の一番の課題です。

また、現在は画像認識やディープラーニングなどにも取り組み、スポーツでも自動化できるような技術を研究開発しています。それができればアマチュアスポーツのミドル層、もしくはその下の層でもアプリが簡単に使えます。単純に強くなるだけではなく、選手を育てたり上手な人と比較したり、そんなことができる世界を目指しています。

岩渕:より多くのアマチュアスポーツマンの「上手くなりたい」にリーチできるようになりますね。最後に、会社として今後どんなビジョンを描いていきたいですか?

土井:世界中で使われるサービスに成長させていきたいです。例えば、サッカー界のユース世代だったらうちの製品を使って当たり前みたいな、世の中のスタンダードになりたいです。私たちのサービスを使って、プロになれた、オリンピックに出られた、そんな声が毎日届くようなサービスになったら大成功です。

編集部コメント

ウインドサーフィンをやめて起業に一気に方向転換したエピソード、かなりインパクトがあって引き込まれました。自分が「楽しい」と思える仕事ができることは素敵なことです。そして、土井さんはそれを実現していると思いました。今後も、スポーツを楽しむ多くの人の「もっと上手くなりたい」にアプローチし続け、いつかオリンピックのヒーローインタビューでSPLYZAの名前が出たら嬉しいですね。

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Rumi Iwabuchi について

1994生まれ、名古屋市出身。Nagoya Startup Newsライター。在学中に学生団体AIESECに所属し、外国人学生のインターン斡旋業務や支援事業に携わる。2016年よりスペインのバルセロナへ語学留学を経験。南山大学外国語学部在学中。