第8回 Startup Weekend 浜松レポート|全5チームのピッチ内容を紹介

投稿者 | 2019-10-21

週末の3日間を利用して、アイデアを形にするための方法論を学びながら実践する起業体験イベント「Startup Weekend浜松(読み方:スタートアップ・ウィークエンド・ハママツ)」。2019年10月11日(金)から13日(日)の3日間にかけて、静岡大学浜松キャンパスで開催されました。 今回で8回目の開催を迎えたこのイベント。本記事では、最終プレゼンの全5チームのピッチ内容をレポートします。

Startup Weekendとは、全世界で4,500回以上開かれ、約36万人以上が参加している米・シアトル発のスタートアップ体験イベントです。1日目の夜に参加者がそれぞれのアイディアを出し合う1分間ピッチからスタート。参加者はハスラー・ハッカー・デザイナーでチームを組み、最終日の午後までにビジネスモデルを作り上げます。

 

▼Startup Weekend 浜松の背景や目的、詳細については、以下記事をご覧ください。

 

今回の審査員は、静岡大学長 石井 潔 氏、East Venturesフェロー 大柴 貴紀 氏、株式会社ウィズグループ代表取締役 奥田 浩子 氏、浜松市長 鈴木 康友 氏が務めました。

 

審査基準は、以下の3点です。

・検証の実施:ビジネスアイデアを必要としているユーザーは実際にいるのか?

・プロトタイプ:ソリューションがプロトタイプ(試作品)として形になっているか?その質はどうか?

・ビジネスモデル:どのようなプランであり、どのような収益構造なのか?

世の中のニーズを拾い、実際に始動できるかとという観点で各審査員が各ビジネスプランを評価していきました。

 

1チーム目 ぐちっと 「社員のグチを経営改善に役立てるサービス」

「離職率を低下させ、社員が企業で働く充実感を得られるように」との思いから、社内の“愚痴”を職場改善に活かすサービスを考えました。

オフィスに、専用のホワイトボードを設置。課員は、不満や疑念を抱えている点を自由に書き込めます。ホワイトボード上に書き出された本音から、職場のニーズ・課題を抽出。レポートとして部門長や経営の上層部に届けられ、現場の改善につなげてもらう仕組みです。

さまざまな企業・部署から集めた“愚痴”はデータ分析ののち「ぐちっと」の現場改善ソリューションとして提供していきます。契約は1年ごと。現場改善の成功事例を積み重ね、社員エンゲージメントの向上に役立つサービスへと発展させたいとのこと。

 

2チーム目 よっしー 「人生100“燃”イキイキ計画」

65歳以上の熟練工がもつスキルを、転職希望者の職業訓練に活かすサービスに繋げるチーム「よっしー」。定年退職を迎える人たちが抱える将来への不安を解消したいと考えました。

リサーチのかたわら、日本における入職者が減少傾向にあることにも注目。転職予備軍の人たちに、「自分の経験やスキルが評価されるか」という不安があることが分かりました。

そこで、転職を検討する人が、熟練工が持つスキルをオンラインで学べるプラットフォームを提案。当プラットフォームに登録すると、動画やライブ配信を通じてスキル教育を受けられるとのこと。サービス利用者は、人材供給を求める企業と事前にマッチングしていきます。

定年後の熟練工のスキルを活かして転職市場の活性化につなげる「よっしー」のプラットフォーム。“人生100年時代”と言われるこれからの日本の労働市場に、風穴を空けていきたい考えです。

 

3チーム目 PTA2.0(ピーティーエーニーテンゼロ)「PTAの業務効率化アプリケーション」

「PTAの役員をやりたがる人がいなくて大変」という声は、よく聞くものです。自身もPTA役員を歴任してきたというチームリーダーを筆頭に、PTAにおける業務を効率化するアプリケーションを発表しました。

(発表者の所属するPTAでは)年間で150件も「お便り」を作成するといいます。そこで、「PTA2.0」では、まず、複数人で回覧するために時間がかかる原稿の校正作業を簡易化。アプリケーション上では、PTA業務も一元管理できるようにします。

PTA2.0アプリは、3万円でPTA団体ごとに購入・導入してもらうと20ライセンスが付与されます。必要な機能は最低限に絞り、PCでも携帯電話でも作業できるシンプルな仕様に。将来的には、「お便り」自体を定型化して業務を外注できるようにするのが目標です。これにより、PTA2.0上の作業は在宅ワークでもできる仕事となり、自治会などへの横展開も可能に。5年以内に静岡県全域へ普及していきたいと展望を語りました。

 

4チーム目 Myca(マイカ) 「中古車のメンテナンスお知らせサービス」

「中古車の所有者が抱える、車がいつ故障するかわからない不安を解決したい」と発表したのは、浜松市産業振興課に勤める市橋さん。車両の日常点検から整備のための来店予約までワンストップでできるアプリケーションを考案しました。

車両情報をアプリに登録しておくことで、ユーザーは点検項目にもとづいたメンテナンス通知を受けとれます。メンテナンスの必要箇所を撮影してアプリで返信すると、プロの車両整備士がチェック。修理や部品交換が必要と判断されたら、同アプリ上で来店の予約までできる仕組みです。

ユーザーのアプリ使用料は無料。契約先となるディーラーやパーツ取り扱い店などからサービス利用料を課金します。利用料は月500円~を検討中。国内の総登録中古車6,200万台を対象にサービスを広めていく考えです。マイカー所有台数が日本一である浜松から、全国へ展開していきたいと意気込みを語りました。

 

5チーム目 あまゆい「一人暮らしの生活を一括管理するIoTプラットフォーム『AM(エーエム)』」

生活状況を一括管理できるアプリ「AM」は、一人暮らしにおける家事のわずらわしさを低減し、家事や節約の推進などを支援するサービスです。

IoTシステムで家電を繋ぎ、料理や洗濯、掃除といった生活のアクティビティの結果が「AM」上に表示されます。例えば、「洗濯の実施日:3日前」といった日々の生活記録を溜めていき、サマリーが1カ月ごとに見られるようにします。また、家電の使用頻度に応じて、ポイントが貯まる仕組み。蓄積されたポイントは、豊かな生活を支えるIoT家電の購入に充てることができます。

家電の使用状況データは、IoT機器メーカーや家電メーカーに販売することでポイントの原資を稼ぎます。不動産店舗や大学生協を中心にアプリを普及したのち、大手不動産企業やIoT機器メーカーなどとの協業へ発展させる方針。一人暮らしに不慣れな学生や新社会人の生活を豊かにしていけたらと、サービスにかける想いを語りました。

 

最優秀賞はチーム「Myca」が受賞!

審査員の議論の末、中古車メンテナンスサービスアプリを考案した「Myca」が最優秀賞を受賞。リーダーの市橋さんのコメントは以下のとおりです。

「自身も中古車を持っている身として、いつ車に故障が起きるか分からない不安が原体験としてありました。共感して集まってくれたメンバーがプロトタイプを作ってくたり、ユーザーアンケートを展開してくれました。ディーラーと契約する発想は、当初なかったものでした。さまざまな人のお陰で、サービスが徐々に形になっていきました」

 

静岡大学生であるチームメンバーの山口さんからは、以下のような喜びの声が上がりました。

「前回は、チームリーダーという立場でビジネスプランをけん引したものの、(ビジネスプランの)詰めの甘さを徹底的に指摘され悔しさが残りました。自身にとってのリベンジ戦だった今回、無事に最優秀賞を取ることができとても嬉しく思います」

 

また、審査員の鈴木康友氏のコメントは以下のとおりです。

「(ビジネスプランとして)完成されたピッチであったと思いますし、さらに工夫をしていけば、実際のビジネスとなる可能性が高いでしょう。引き続き(ビジネスプランの)ブラッシュアップをしていってもらいたい」

 

同じく審査員である大柴貴紀氏は、「(今回は)全体的にレベルが高く、プレーヤーの皆さんから(自身へ)投資の相談が来たら良いなと思える1日でした」と、コメントしました。

 

回数を重ねるごとにビジネスプランのレベルが上がっているStartup Weekend浜松。運営を支えようと、プレーヤーからオーガナイザーに転身した人たちも見られました。地元の大手企業もスポンサーに参画するなど、スタートアップ熱が地域に広がりを見せている様子です。

Startup Weekend浜松で発案されたビジネスがスケールし、世の中の課題を解決する日も近いかもしれません。

 

次回、弟9回Startup Weekend 浜松は、2020年3月27日(金)~29日(日)の日程で、The Garage for Startups(浜松市中区高林)にて開催されることが決定しています。

12月6日(金)~8日(日)には、第2回となるStartup Weekend 静岡が駅前会議室LINK (静岡市葵区)で開催されます。事業立案やイノベーションの起こし方、チームビルディングの手順などを体感したい方は参加してみてはいかがでしょうか?

 

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