次世代人材育成メソッド「アクティブ・ブック・ダイアローグ®」を取り入れた、ソミック石川の新入社員研修

投稿者 | 2018-05-22


新年度になると、多くの企業で新入社員研修が実施されます。新入社員研修の目的は、学生から社会人へのマインドチェンジやコミュニケーション養成、ビジネスマナーの習得など。研修内容や期間は企業によりさまざまで、主に自社の研修施設で職員が講師として開催されることが少なくありません。なかには、野外開催や社外講師を招いて、趣向を凝らした研修内容を取り入れる企業も見られます。

浜松市に拠点を置く株式会社ソミック石川(本社:浜松市南区)は、国内トップシェアのボールジョイント・ダンパーのメーカー。2018年度、浜松市の老舗大手企業であるソミック石川がITベンチャー企業の株式会社NOKIOO(本社:浜松市東区)の協力を得て、社内改革を起こすプロジェクトがスタートしました。

その1つとして、社外講師による次世代人材育成メソッド「アクティブ・ブック・ダイアローグ®(以下、ABD)」の手法を取り入れた新入社員研修を開催。新入社員はABDを用いて、社長のメッセージと社史の理解を深めました。今回は、その様子をレポートします。

アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)とは


ABDとは、読書が苦手な人も、本が大好きな人も、短時間で読みたい本を読むことができる全く新しい読書手法です。 京都にあるNPO法人場とつながりラボhome‘s viの正会員として、さまざまなワークショップを開催・開発してきた竹ノ内壮太郎氏によって開発されました。

1冊の本を分担して「読んでまとめる」「発表・共有化する」「気づきを深める対話をする」というプロセスを通し、著者の伝えようとすることを深く理解できます。さらに、能動的な気づきや学びが期待できることから、企業や市民活動などさまざまな研修で用いられています。

今回の講師は、NPO法人場とつながりラボhome‘s viファシリテーターの丹羽 妙氏。丹羽氏は、企業の組織活性化やリーダーシップ育成に向け、コミュニケーション改善や紛争解決のファシリテーションを行なっています。

自分史を書き出し、仲間の価値観を共有


今回の新人研修は、自分史の作成、ABD、広告写真家を招いた「劇的写真撮影」の3部構成です。まずはじめの自分史の作成では、生れてからこれまでの自分の物語を各自で紙に書き出します。その後に、仲間同士で自分史を披露し合う時間が設けられました。

ソミック石川では、入社時に数週間の新入社員研修を終えると、各配属先に出勤するようになります。この日は、約1ヶ月ぶりに顔を合わせるもの同士もいましたが、自分史を披露することにより、お互いの経験や価値観を共有でき、コミュニケーションがスムーズに取れ、あちらこちらで笑い声が聞こえることもありました。

大切な社史を裁断!その意図とは?


ABDのプロセスは「読んでまとめる」「発表・共有化する」「気づきを深める対話をする」の3つ。一般的なABDは、最初の「読んでまとめる」の段階で使用する本を裁断し、各チームに割り振るところからスタートします。普段、本を裁断することなど滅多にやることではありませんが、これはABDの短時間で本を読むための作業の1つです。

今回は時間の都合もあり、すでに裁断したページを数枚ずつテーブルに配置し、新入社員自ら、どの章を担当するか決めて席に座るとこから開始しました。そして、新入社員たちは内発的に選んだ社史を熟読し、紙に要約して書き出します。次に、書き出した社史を同じテーブルの新入社員同士で発表をし合い社史の理解を深めました。

会社の歴史や理念をより深く落とし込む

各テーブル内での発表が終わると、今度は要約した社史を壁に貼りだします。そして、チームの代表が1人前に出て、違うチームの要約した社史を読み上げ発表をしていきました。こうすることにより、長い文章を短時間で読み、内容を腹落ちさせることができます。

朝早くから開始した新入社員研修は、休憩をはさんで3時間以上が経過していましたが、集中力が途切れる社員はほぼなく、研修を受ける新入社員の顏は真剣そのものでした。

次世代育成メソッドを取り入れた研修のその後

社史を発表・共有化した後は、お互いに疑問や感想など、気づきを深め対話をする作業に入ります。自分や同期、会社の「ありたい未来」と「避けたい未来」はどんなものがあるのか。紙に書き出して、張り出し発表します。その中で「同期は大切、一緒に頑張っていきたい」「世界のソミックになるよう、自分が会社を支える」などの意見が飛び交いました。

今回の新入社員研修は、終始、お互いの価値観を共有できる対話の時間が設けられ、講師や先輩社員を交えて活発に意見交換が見られました。ソミック石川では、新入社員研修が終わると、それぞれの部署に配属され、次にある研修は約3年後の管理職研修となります。新入社員たちには、ここで得た経験を仕事にはもちろんのこと、今後の人生にも活かせられるような研修だったのではないでしょうか。

編集部あとがき

浜松市の老舗大手企業であるソミック石川が、ITベンチャー企業NOKIOOの協力を経て開催した次世代育成型メソッドを取り入れた新入社員研修。ソミック石川が社内で初の試みとして開催したこの新入社員研修が、今後、どのような発展を遂げるのか、新入社員の成長に期待が高まります。