「いわしん・がんばる起業応援ネットワーク」主催、ビジネス・コンテスト最終選考会レポート

投稿者 | 2018-11-30

静岡県磐田市に本店を構える磐田信用金庫を中心とする「いわしん・がんばる起業応援ネットワーク」。同機関が主催するビジネス・コンテストの最終選考会が、2018年11月13日(火)に行われました。

ネットワークに協賛する地元の大学をはじめ、ヤマハ発動機株式会社や浜松ホトニクス株式会社など大手企業も後援する本ビジネスコンテスト。本記事では、全9プランのプレゼン内容と代表者のコメントをレポートします。

ビジネス・コンテストの趣旨

17回目を数えた今回のビジネス・コンテストは、152件の応募がありました。新規創業者部門・既存事業者部門・学生チャレンジ部門のそれぞれから、1次・2次審査を経て9プランが進出。最終選考会でのプレゼンテーションの結果、各賞が決定され、最優秀賞の受賞者には100万円の賞金が授与されます。

同コンテストの開催に関する背景や目的を、磐田信用金庫の地域支援グループ次長 川上 惠介 氏(写真右)に伺いました。

「産学のネットワークが主催することで、各機関による創業のサポートを実現しています。コンテストの終了後も、技術的なアドバイスから販路の開拓、ファイナンスまでアフターフォローを行うのが当コンテストの強みです。

地元の学校にも訪問を重ね、賛同を得てきました。学生のプランの中に光るものがあるので、それらを拾って地域の活性化に貢献していきたいです。

地元での認知度も上がり、5年ほど前から100件以上の応募がコンスタントに来るようになりました。起業の登竜門となるコンテストとなってきたと思います」

また、今後については、

「浜松信用金庫と1月21日に合併も控えています。当ビジネスコンテストと『はましんチャレンジゲート』がうまく融合して、地元の新規創業者や既存事業者の方たちに喜んでいただけるようなプログラムを目指したい」

とのこと。

地域の産業の活性化を担う「いわしん・がんばる起業応援ネットワーク」のビジネス・コンテスト。審査員や各メディアも注目する中、9件のプレゼンが行われました。

間木 守弘「太い刈払コード体を簡単に装着できるコード式刈払機用ロータ」

浜松市在住の間木 守弘氏は、ナイロン製の特殊コードとそれを装着できる刈払機用のローターを考案しました。

田畑や庭などの草を刈る時に使用される刈払機には、金属製の刈刃を用いることが主流です。それにより機械が重くなり、刃が高速回転することによる事故が多発していました。
そこで、刈刃を安全性が高いナイロン製のコードに転換。強靭な素材を使用し、正方形に加工することで、刈刃に負けない切れ味を実現しました。また、コードをU字状にすることで、装着を簡単にし、動力を抑えた低速回転を可能にしています。

河合 陽子 Smiley Bell「楽しむ空間デザイン バルーン&ジャイアント・ペーパーフラワー」

Smiley Bell(浜松市浜北区)は、バルーンとジャイアントペパーフラワーによる空間デザインのサービスを提供しています。

ジャイアントフラワーは、直径約60㎝という見栄えのする紙製のモチーフ。結婚式やステージなどの装飾に用いられる、海外発の空間をデザインする手法です。サイズ感や軽量面において、生花の装飾サービスとの差別化を図れることが特徴とのこと。

河合さんは、日本で認定講師の資格を取得しました。静岡県西部では先駆けとして、ジャイアントフラワーの知名度向上に注力しています。地元メディアに出演したり、イベントに出店するなど販促を強化中。個人向けの贈答品とウエディング業界向けの装飾サービスで拡販を狙います。

金井 隆尚 ゴルフスクール・ティーケイ「落ちないのに堕ちる!乗り物用疲労軽減枕『ネックラック®』」

浜松市で30年にわたりゴルフのインストラクターを務め、鍼灸院も経営する金井 隆尚 氏。体のコンディションを保って長時間の移動を楽にする、小型の枕『ネックラック』を開発しました。

約5㎏の重さがある頭を支える首には負担が多く、慢性的な不調を抱える人が少なくありません。『ネックラック』は、座席と首の間にあてがうだけで、首の負担を減らし快適な姿勢を保つことができます。ウレタン素材のため重量が約80gと軽く、持ち運びも簡単です。

ものづくりの街と知られる静岡県西部で、関連企業や各機関に助言を求めて製作を依頼。商品化にこぎつけ、カタログの通販では2年間で約1,700個を売り上げました。現在は、店舗販売を強化中。東急ハンズ新宿店はじめ、地元の小売店でも販売を開始しています。価格は、1個7,800円(税別)。

パイフォトニクス株式会社「次世代型ホロライト・シリーズの量産化と海外展開事業」

パイフォトニクス株式会社(本社:浜松市東区)は、2006年、光創成業創成大学院大学内で創業。太陽光線と同程度の擬似平行光を発光できる軽量型のLED照明装置『ホロライト』を製造・販売しています。山や波といった自然の観光資源をライトアップして演出するほか、工場での安全の注意喚起用として製品を拡充してきました。

現在は、海外の規格に適合した新型ホロライト・シリーズの海外展開を目指しています。具体的には、ニーズの高い6㎝角というより小型なホロライトを開発、量産化を図ります。

芸術や観光に関する3億円の市場を席巻したのち、ロボットやIT、農業などの新産業の市場へ参入する計画。2020年度に売り上げ6憶円をターゲットとしています。

TSK株式会社「電磁誘導加熱装置『MAGHEAT®』の開発と製版事業化」

貿易商社のTSK株式会社(本社:静岡県袋井市)は、自動車産業を中心に需要が拡大しているアルミ材料の新加工技術を事業化しています。

これまで、原料となるアルミのインゴット(かたまり)加工は、火炎や電気ヒーターを用いた溶解・熱処理が必要でした。アルミを投入する際に溶解温度が下がるため加熱効率が低いことと、多量のCO2の発生が問題とされています。TSKは、アルミ材の中に直接、電磁誘導の加熱をできる独自装置を開発し、双方の課題をクリア。自動車産業に焦点を当てて、国内外での普及を目指しています。

2017年4月の国内特許、同年11月の台湾特許の取得を皮切りに、PCT(※)へも出願を申請中。スロベニア協和国との提携で、EU全域への普及化も視野に入れています。

※PCT|特許協力条約(Patent Cooperation Treaty)。特許の出願願書を条約に従って提出することによって、PCTに加盟するすべての国に同時に出願したことと同じ効果を得られる出願制度。

株式会社モア・リビング「介護用の三角テーブル&チェアー『Smile60°』」

介護施設の内装と家具工事などを行う株式会社モア・リビング(本社:静岡県袋井市)。同社は、要介護レベル3~4の方々の食事の介助に最適なテーブルとチェアーを開発しました。

人の視野が120°であることに着目し、テーブルを三角形に。1人の介助者が2人の要介護者の食事を、リラックスした楽しい雰囲気の中でサポートできます。視野が直行せずパーソナルスペースが広くとれるため、コミュニケーションが円滑になり作業効率も格段に上がります。チェアーには、丈夫な素材を使用し、手すりの長さを通常の半分にして可動性を高めました。現在、日本橋高島屋や東京国際家具見本市などに出店し、販路を拡大しています。

伊藤 恵美 静岡県立袋井商業高等学校「パッと見 降車ボタン」

▲学校行事へ参加のため録画にてプレゼンテーション

袋井商業高校に通う伊藤さんは、3秒間の視線を送るだけで降車の意思を伝えられる装置を発表しました。きっかけは、自身がバスを利用する際に、荷物が多くて手がふさがっているときはボタンを押しづらいと感じたこと。

装置には、視線を感知して文字の入力ができる「視線入力装置」の機能を取り入れます。装着する形状を採用し、現行のボタンをそのまま使用できるようにしました。また、ご当地の名物やキャラクター、季節に合わせたデザインを取り入れることで、バス内を明るく賑やかな空間にしていきます。

今後、バス会社やバスの製造会社にプレゼンテーションを行い、試作品のテストやマーケティングの協力を仰いでいくとのことです。

寺田 泰彦 静岡県立農林大学校「竹を用いた倉真(くらみ)地域の6次産業化」

農林大学校で農ビジネスを研究する寺田さんは、日本各地で増加する放置竹林の問題に取り組んでいます。農業的被害や環境浸食などの問題を引き起こしている放置竹林を活用し、資源化するビジネスプランを構築しました。掛川市倉真地域にて、竹を主原料とした堆肥『竹チップ堆肥』を生産し、地域内で循環する資源として活用します。竹は、ミネラルやカリといった養分に富み、リンの吸収を促進する効果や窒素過剰を抑える効果も期待できます。4~5年で生育するため、伐採から堆肥の生産までのサイクルを確立しやすいのが特徴です。

この『竹チップ堆肥』を用いて高品質な作物の栽培をするほか、堆肥の発酵熱を利用した加工品(黒にんにく)の生産・販売も開始しました。また、イベント開催で人を呼び込み、定期的に竹の伐採をできるようにしていきたいとのこと。

浅野 由莉 静岡産業大学「シソジュースの消費拡大について」

地域貢献や地域活性を目指す大学公認の「まちづくり研究部」で部長を務める浅野さんは、磐田市の名産品である赤シソの普及に励んでいます。静岡県は、加工用のシソの出荷量が日本一。某ふりかけに使用される赤シソも9割が磐田市で生産されていますが、地元での認知度は低いそうです。

浅野さんが研究した結果、赤シソには高い疲労回復の効果があることが分かりました。また、「ジュビロ磐田」のホームグラウンドでもある磐田市は、スポーツの街としても知られている点に着目。スポーツや健康の効能と結び付けた、甘くてさっぱりと飲みやすい「シソジュース」を開発しました。

イベントを通じてPR活動を行い、赤シソの消費拡大を狙います。2019年度に市場調査と試作を経て、2022年の販売開始を目指しています。

最優秀賞受賞企業の代表者コメント

最優秀賞は、TSK株式会社が受賞しました。「静岡県西部のあらゆる産業を支える事業。今後さらに頑張ってほしいと思う」と、審査員より高評価を得ました。

代表取締役社長の窪野 忠 氏は、「今日発表した私の技術を、国内のみならず海外にも広めて、みなさんの喜びにつながるように成果を出したい。みなさまのご理解と、機会をいただいた磐田信用金庫さまに心から感謝いたします」と、意気込みを語りました。

また記者会見では、「2015年に国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)で採択されたパリ協定を受け、トヨタ自動車がCO2の発生をゼロにするチャレンジを発表しています。今回の技術発表は、世界的レベルで唯一それに対応できる技術」と、コメントしました。

総評|静岡産業大学特別教授 大坪 檀 審査員長

大坪審査員長のコメントは、以下の通りです。

「初回より参加しているが、今回はどのアイデアもレベルが高く、選考を進めるのが大変でした。地方創成の本当の狙いは、地元のみなさん自身。みなさんの意欲とアイデアによって、静岡県西部が大発展を遂げていくと思います。

自動車や光をはじめ先端的な工学産業が生まれた静岡県西部は、世界も注目しているエリア。産学の連携を一層深め、この地域の経済と産業の発展に寄与していきます」

2017年4月より約半年間にわたり進行してきた、本ビジネス・コンテスト。ここから生まれた新たな事業が、静岡県西部エリアの活性化ひいては社会の発展に貢献することが期待されています。

▼そのほかの受賞者については、以下の通りです。

優秀賞 パイフォトニクス株式会社
特別賞 間木 守弘、Smiley Bell、ゴルフスクール・ティーケイ、株式会社モア・リビング
学生最優秀賞 寺田 泰彦
学生特別賞  伊藤 恵美、浅野 由莉

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SugawaraMisaki について

浜松の魅力を伝えるライターとして、主にwebメディアで執筆中。千葉県出身。東京で不動産会社にて勤務、タイ国・バンコクへ出向する。30歳を目前に「自分を生きる!」と決意し退職。全国を旅して、浜松市へ移住する。現在は、ナチュラルライフを送りながら「マイペースでラク~に生きるコツ」を発信中。得意分野は、オーガニック・農業・旅行・独学英語・コミュニケーション、ビジネス。